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Fate/WizarDragonknight
悲劇の原因
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 悪魔と否定したい、友奈の心を。

 全ての拘束具を取り払ったアマゾンネオ。阿修羅のように、六本の腕を持つ、醜悪な怪物であるそれは、ゆっくりとこちらに歩いてきた。

「ねえ……あれって……」

 ウィザードに、困惑の声が混じっていた。
 彼もきっと、友奈と同じ気持ちだろう。
 だが、友奈が答える前に、アマゾンネオ___と仮定する___は、吠えた。
 その体表を突き破り、無数の触手が放たれた。
 それは容赦なく友奈、ウィザード、龍騎を絡め、締め上げた。

「きゃああああ!」
「うわっ!」
「放せっ!」

 三人とももがくが、アマゾンネオの拘束は強く、びくともしない。
 その時。
 アマゾンネオの足元。
 見逃してしまいそうなものを、友奈は見た。

 触手が出るときに、飛び散ったアマゾンネオの体液。それが、近くを逃げ回っていたネズミに付着したのだ。

「……!」

 その一部始終を、友奈は見た。

 起 ネズミは、付着した体液に驚く。
 承 やがて体液は、ネズミの全身に染み渡る。
 転 もう嫌になるほど見た、白い蒸気がネズミより発生。
 結 そうして、ネズミは、さきほど友奈が戦ったウミヘビのアマゾンになる。

「そんな……!」

 生まれたばかりのアマゾンがアマゾンネオに踏み潰された。だが、それを見てしまった瞬間から、友奈はそのことにしか考えられなかった。

「友奈ちゃん!」
「友奈ちゃん!」

 ウィザードと龍騎の呼びかけにも、友奈は動かない。ただ、口をガタガタと震わせていた。

「千翼くんが……」
「友奈ちゃん!」
「どうしたんだよ!?」
「今、足元のネズミが……アマゾンになった……」

 それを口にすると同時に、友奈は確信した____確信してしまった。

「千翼君が、感染源……溶原性細胞の、感染源……アマゾン化の、原因なんだよ!」

 嘘だ、と、誰よりも友奈が訴えていた。
 だが。

 その音に、友奈の背筋が凍る。
 この世界に来てから、もう聞くことはないと思っていた、スマホの警報音。
 かつての世界で、バーテックスという敵が襲来してきたときの警報音。

「……」

 友奈は、傍らの牛鬼を見ながら首を振る。
 それはつまり、勇者システムは、アマゾンネオ___千翼を、バーテックスに匹敵する脅威だと認識したということ。
 放っておいては……生かしてはいけないということだった。
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