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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第十七話「蒼鷹」
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のかい?なら俺が代わりにやってやろう、お前の大好きなあのメイドッ娘の所で平和に暮らせるかも知れないぜぇ………」

その言葉は……リオンにとって許されざる物である。低い声で「黙れ」と口にした。

「あぁ?なんだよ聞こえねえな……もっと音量(ボリューム)上げて欲しいなぁ」

「黙れ!」

「キャッキャッキャッ!生憎と俺はお喋りなのさぁ。ソイツは聞けねえなあ!」

「黙れええええええええええええええ!!!」

車椅子から転げ落ちるのも意に介さずリオンはシャルティエを振り抜いた。だがその一撃はリオンの物とは思えないほど粗末な一撃だった。蒼鷹は嘲笑いながら空中に飛び立った。

「おいおいどうしたよ?無様に這い(つくば)っちゃってさあ、
 そんなんじゃあ千年たっても触れることすらできないぜえ」

「はあはあ……止めろ…」

「結局てめえは自己満足でまた人を殺すんだよ」

「止めろ……黙れ」

「悪いことは言わねえから首をやっちまえよぉ……そしたら楽になるんだって」

「止めろ、何なんだお前は」

「俺は事実を言っているだけさぁそれが聞けないのかい……?」

「違う、貴様は、貴様は………何者だ!」

蒼鷹はニヤリと笑った……様に見えた。元より鳥の顔などわかる訳も無いが。
もう一度その嘴が開かれようとしたのを見てリオンはそれだけで全身の毛が逆立つように感じた。


突然、視界が開けた。


「おい、起きろ!」

目が開けるとそこに見えたのはとても見慣れた顔。リオンの主治医(もうそう言っても差し支えないだろう)であるエドワードが若干怒った顔でリオンの目を覗き込んでいた。

「大丈夫か?」

「ぼ…僕は……」

数秒送れてリオンはあの蒼鷹が夢の中の存在だったのだと自覚した。
リオンをして数秒遅れたのだ、蒼鷹の存在感たるや半端ではない。

「大分うなされてたみてぇだな………お前が寝坊するなんて」

「…………」

「だんまりかよ……最初に戻ったみたいだな。
 まあいいや、飯できてるぞ」

そう言ってリオンに車椅子を差し出した。
……そのどこにも傷は無い。だが間違いなく昨日までリオンが使っていたものと同じだ。

「エドワード」

「何だ?」

「車椅子はこれと同じものは複数有るのか?」

「いや、ねえぞ。患者の怪我に合わせて選んでるからな。
 同じのが二つ使われるなんてこたぁ滅多に無いから、一々コレクションする物でもねえし……
 特にお前のは特殊な奴だからそれ一つしかないぞ?」

エドワードは頭を掻き(むし)りながら「ていうかコレ前にも言ったような気がすんだが…」と付け加えた。その態度に不信な所はないし事実リオンも前に同じ事を聞いた事がある。
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