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Fate/WizarDragonknight
さっきまで人間だったもの
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誰か! 誰かいないのか!?」

 生き残りを求めるハルトの声は、ただむなしく病院内を響くだけだった。
 やがて、二階フロアに着いた時、すぐ近くのドアが開く。

「生き残り!」

 その姿に、ハルトは歓喜の表情を浮かべた。
 可奈美と同じくらいの年齢の少女。全身傷だらけだが、ドアノブに体を寄りかけながらその姿を見せた。

「君! 大丈夫?」

 ようやく見つけた生き残りの少女を助け起こしながら、ハルトは尋ねる。
 全身血まみれの少女は、ハルトを見上げて呟く。

「に……げ……て……」

 その時、ハルトは絶句した。
 見上げた彼女の首筋に、黒い血管が浮き出ていることに。
 彼女から発せられた蒸気により、全身が焼けるような熱さに襲われる。
 悲鳴も上げる間もなく、少女の姿は、黒い、アマゾンへ変わった。

「!?」

 急いでアマゾンから離れようとするが、変身解除したのがまずかった。少女だったアマゾンはハルトの腰を掴み、指輪のホルスターがその爪にかかる。
 結果、ホルスターがそこにはめられていた指輪が散乱し、階段から一階へ落ちていく。。

「しまっ……」

 アマゾンの前で、拾いに戻るなどという隙の大きいことなどできない。ハルトはアマゾンの腕をドロップキックで相殺し、近くの病室へ逃げ込もうとした。
 だが。

「ここも……っ!」

 病室には、ぐちゃぐちゃと折り重なった中年の男女を食べる、子供のような大きさのアマゾン。サイの頭部をしたそれが食べているのは、まさか両親では、とハルトの背筋が凍る。
 その子供のアマゾンは、ハルトの入室に気付き、次の獲物に狙いを定めた。

「またかよ!」

 ハルトは急いで廊下に飛び出し、新手のアマゾンから逃れる。

「くそ、まだ生き残りがいるはず……!」

 二体のアマゾンへ近くの観葉植物を投げつけ、距離を稼ぐ。走る先に見つけた、もう一つの階段。
 そして、向かいの病室の扉が開く。
 騒ぎに怯えた病人_____だった、アマゾン。

「嘘でしょ!」

 大人らしい身長のクワガタの姿をしたアマゾン。それはハルトを見定めると、その首を掴みかかってきた。

「グッ……!」

 対応できなかったハルトは、そのまま廊下に押し付けられる。一度引き込まれ、再び壁に。アマゾンの人智を越えた腕力に、壁は砕かれ、ハルトは二階からロビーへ投げ出された。
 指輪がなければ、ウィザードといえどもただの人間。生身のハルトは背中から落下した。

「あっ……」

 ウィザードリングとの距離が縮まったのに、痛みでより遠く感じる。
 飛び降りてきた三体のアマゾンに加え、病室や陰などに隠れていたアマゾンたちもその姿を現す。

「こんなことって……」


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