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Fate/WizarDragonknight
さっきまで人間だったもの
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まさにウニの歯を抜くように、ハルトは力を込めてその顔を斬り裂いた。
 力なく倒れたウニアマゾンを確認したハルトは、再びマシンウィンガーに乗る。
 もう、病院は目の前だった。
 そして、その門の中は……

「嘘だろ……」

 それを見た瞬間、ハルトはここが人間の支配する世界であることを忘れた。
 真っ白な病院の壁を埋め尽くす、黒黒黒。
 人の服を不自然な赤で染め上げた怪物たち。色とりどりのカジュアルシャツの人もいれば、病院関係者らしき白衣の者まで、無数のアマゾンたちが、それぞれ人体のパーツ一つ一つを、まるでスナックのように食らいながら徘徊していた。

「アマゾンの病院……」

 思わず足が震える。だが、それはアマゾンたちにとっては、餌同然。こちらへの視線が、どんどん増えていく。
 やがて、アマゾンたちはハルト(捕食対象)を食らおうと駆け出してきた。

「変身!」
『フレイム プリーズ』

 ハルトの左側より赤い魔法陣が出現。通過により、ハルトの姿は赤のウィザードとなる。
 両側より掴みかかってきたアマゾン二体を蹴り飛ばし、ソードガンでアマゾンたちを寄せ付けない。
 掴みかかってきた蛇の髪を持つアマゾンをビッグで弾き飛ばしたウィザードは、出し惜しみはしていられないと、指輪を取り出す。

『コピー プリーズ』
『コピー プリーズ』

 二度の複製の魔法により、ウィザードは一人から二人、二人から四人にその人数を増やす。
 間髪入れず、次に使う魔法。それは。


『チョーイイネ キックストライク サイコー』

 

右足に火の魔力を込める。さらに、バク宙。右足を上に飛び上がり、右足をアマゾンの大群へ向ける。
 だが、これだけでは足りない。

『ビッグ プリーズ』

 巨大化の魔法陣により、ウィザードの足が大きくなる。体積威力ともに増加したそれにより、アマゾンの大群にぶつけた。
 雨を打ち消すほどの威力は、病院の中庭全てを火の海に変えた。

「……」

 病院を火の海に変えた。
 地面に落ちるアマゾンたちだったものに目をくれることなく、ハルトは廃墟となった病院に入っていった。



 だが、病院の中は、この上ないほど無音だった。
 音に変わり、病院内を充満するのは、鉄の臭い。薬品もろもろの臭いを塗りつぶす赤い臭いに、ハルトは不快感があった。

「これは……」

 薙ぎ倒された植物。引き裂かれた椅子。白を上回る赤。
 そして、人一人いない、この惨状。

「まさか……病院が、一番アマゾンになった人が多いのか……」

 クトリや千翼はどうなった。
 考えたくない結果を頭に浮かべながら、ハルトは故障したエレベーターをしり目に階段を登る。


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