第二章
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その彼女が島田に言った。
「若しよかったら」
「お前が飼ってくれるか?」
「ええ、酷い飼い主もいるわね」
「本当にな」
島田も苦い顔で答えた。
「僕もそう思って仕事先のスポーツジムでも探そうと思っていたら」
「そこでなのね」
「お前が飼いたいって言うなら」
それならというのだ。
「頼むな」
「わかったわ」
栞も頷いてだ、そうして。
リンを引き取った、リンは最初彼女に心を開いていなかったが。
それでもだ、徐々にだった。
「そうなんだ、リンも最近は」
「ええ、私に心を開いてくれてね」
栞は自分の部屋に来た島田に笑顔で答えた。
「こうしてね」
「傍に来たりか」
「する様になってくれたわ」
「よかったな」
見ればその通りだった、リンは。
栞の傍にちょこんと座っている、そして彼女に頭を撫でられると喉を鳴らしてそのうえで一声鳴いた。
「ナ〜〜〜オ」
「本当に懐いているね」
島田もそのリンを見てわかった。
「よかったよ」
「ええ、時間はかかったけれどね」
「そうだね、あとね」
「どうしたの?」
「元の飼い主今大変なことになっているよ」
「そうなの」
「僕も最近知ったけれど」
今度は元の飼い主の話をした。
「インスタグラムで急に猫がいなくなったのでどうしてって聞かれたらね」
「まさかと思うけれど」
「一緒に映っている交際相手が嫌いだからゴミ箱に捨てたってコメントしてね」
「それでなの」
「もうインスタグラムが炎上して」
それでというのだ。
「自分だけじゃなくて交際相手の顔から住所と実名がばれてね、お仕事もね」
「ネットでそうなったら」
「某巨大掲示板でも大騒動になって」
所謂祭りになってというのだ。
「自分にも交際相手にも抗議の電話が殺到して実家や仕事先にもね」
「それは凄いわね」
「仕事クビになって家に嫌がらせする人も一杯出て来て」
「いられなくなって」
「もうアパートからも追い出されて」
それでというのだ。
「今はどうなったのか」
「わからないのね」
「そうなったよ」
「そうなのね」
「自業自得だね、命を何とも思っていない人は」
それこそとだ、島田は従妹に話した。
「そうなって当然だよ」
「本当にそうね」
栞も頷くことだった。
「そんな人は」
「それで元の飼い主はそうなったし」
それでというのだ。
「リンも助かって今は幸せだし」
「よかったわね」
「じゃあこれからは」
「ええ、リンを大事にしていくから」
栞は従兄にこのことを約束した。
「宜しくね」
「こちらこそね、リンも幸せにね」
「ニャーーー」
リンも笑顔で応えてだった。
島田も彼女を撫でた、そして彼も笑顔になった。
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