第一章
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吹雪の中で拾われて
島田剛は動物病院に飛び込んだ、そうして獣医に言った。
「あの、いいですか!?」
「どうしました?」
「猫を拾ったんですが」
見れば黒い子猫が大柄な彼の手の中にいる。
「ゴミ箱の上で雪が積もっていて」
「今大雪ですからね」
「それで雪が身体に積もっていて」
「凍死しそうだったんですか」
「はい、まだ息はありますけれど」
それでもとだ、島田は獣医に話した。見れば小さな奇麗な目で唇は小さい。顎の先が尖っていて黒髪を左で七三に分けている。体格はまるでラガーマンである。
「ですが」
「それでもですね」
「かなり弱っていますから診てくれますか」
「わかりました」
獣医は猫の様子を見て一刻の猶予もないと判断した、そしてだった。
実際に猫を診た、そうして剛に話した。
「衰弱していてしかもあちこち凍傷になりかけていて」
「それで、ですか」
「はい、あと少しここに連れて来るのが遅かったら」
それならというのだ。
「危なかったです」
「そうでしたか」
「はい」
こう島田に話した。
「本当に」
「では助かるんですね」
「安心して下さい、ですがこの子首輪をしていますね」
獣医は島田にこのことも話した。
「そうですね」
「僕も見ました、飼い猫ですね」
「飼い猫がどうしてゴミ箱の上に」
「家出してでしょうか」
「そうだといいですが名前と連絡先も書いてありますし」
見れば名前はリンとあり電話番号は携帯のものが書かれている。
「連絡してみましょう」
「それじゃあ」
こうしてだ、獣医はすぐに飼い主に連絡をした、そして暫くして。
彼はこれ以上はないまでの静かな怒りに満ちた顔で島田に話した。
「想像を絶します」
「どうしたんですか?」
「飼い主は若い女の人でしたが」
「そうでしたか」
「インスタグラムのいいねや人気が上がるから飼っただけで交際相手が嫌いだから家から出していて死にそうだからもういらないと」
「あの、それは」
獣医の言葉に島田も唖然となった。
「幾ら何でも」
「世の中そうした人もいます」
「軽い気持ちで飼ってですか」
「軽い気持ちで捨てる人が」
「そうですか」
「もういらないから好きにしてとです」
その様にというのだ。
「言っていて勝手に切りました」
「動物虐待で犯罪ですよね」
「自覚はなかったですね」
「信じられない人ですね」
「全くです、どうもご飯もまともにあげていなくて」
今度は猫を見ながら話した。
「本当にです」
「インスタ映えだけをですか」
「考えて飼っていましたね」
「最低ですね」
「まあその飼い主のことは後で置いておいて」
それでとだ、獣医は島田にあらた
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