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レーヴァティン
第百八十四話 馬封じその十三

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「それはな、しかしな」
「酒となるとな」
「難しい、あと俺達は全員吸わないが」
「煙草か」
「これもだ」
 尚英雄と彼の仲間達も煙草は吸わない、久志も英雄もその周りに煙草を吸う者は一人も存在していない。
「禁じることはだ」
「難しいんだな」
「麻薬程ではないからな」
「毒はあってもか」
「麻薬は魔薬だ」
 正はこの言葉を忌々し気に出した。
「一旦手を出すとな」
「中々止められないっていうな」
「そして身体も心もな」
「蝕まれてな」
「廃人になる、この世界にはないが覚醒剤なぞだ」
「やるとだよな」
「本当にな」
 忌々し気な口調のままさらに話した。
「廃人になる」
「色々怖い話あるな」
「だからお前は帝国で麻薬を禁じたな」
「阿片とかな、麻薬はホームズもやってたけれどな」 
 シャーロック=ホームズはコカインを楽しんでいたし日本では金田一耕助もそうだった。当時はあくまで合法だったのだ。
「やっていいかってなるとな」
「絶対に、だな」
「駄目な代物だからな」
「禁じたな」
「もう旗揚げの時点でな」
 ローマでのそれ以来というのだ。
「禁じたんだよ」
「そうだな」
「あんなものやってもな」
「いいことはない」
「絶対にな、だからな」
「禁じてだな」
「売ってる奴も厳罰にしてるし」
「手を出した奴もな」
 そうした者達もというのだ。
「逮捕して徹底的に取り締まってな」
「組織も芥子畑等もだな」
「徹底的に潰してるんだよ」
 軍まで送ってだ、久志はそうして麻薬を取り締まっているのだ。
「そうしているんだよ」
「そうだな、麻薬はそれで禁じられるが」
「酒はな」
「麦さえあれば造れる」
「だからな」
「禁じてもな」
 例えそうしてもというのだ。
「造る者は造るしだ」
「密造や密売で儲ける奴が出るな」
「悪人共の金になるだけだ」
 例え禁じてもというのだ。
「だからだ」
「あれは禁じるべきじゃないか」
「そうだ」
 絶対にというのだ。
「そうしたくてもな」
「そもそも酒造るの止める位兵糧がないとかな」
 美奈代は誰よりも飲みつつ言った。
「どれだけやばいか」
「兵糧不足でな」
「そうなるわ」
「実際曹操の頃の中国はとんでもない飢饉でもあったしな」
「農村が戦乱で荒れ果ててな」
 戸籍も崩壊していた、戸籍上の人口が六分の一にまで落ちていたのだ。
「もう無茶苦茶でや」
「深刻な食糧不足だったな」
「特に曹操の勢力圏はな」  
 その戦乱の中心地を治めていたのだ、黄巾の乱以来のことであったのでかなり深刻な事態であったのだ。
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