第二章
[8]前話
「いつもやんちゃだから」
「そうよね」
「けれどそんな子だから」
風呂上がりで部屋の隅で自分を怒った目で見ているコテツを見ながら母に話した。
「かえってね」
「可愛いわね」
「そうなのよね」
「やんちゃな子程ね」
まさにというのだ。
「可愛いのよ」
「そういうものね」
「そう、じゃあコテツ寝る時はね」
かずみはそのコテツに声をかけた。
「私の部屋に来る?」
「ワンッ」
この質問には尻尾をぱたぱたと振って応えた、かずみはも両親もそのコテツを見て自然と笑顔になった。
この日かずみは実際にコテツと一緒に寝た、シャンプーをかけたばかりの彼はとてもいい香りがした。
次の日の朝の散歩ではコテツは素直であった、それでかずみも意気揚々と出勤出来た。だが家に帰って。
自分の部屋に帰ってだ、散らかってるのを見てだ。
リビングに行って母の膝の上にいるコテツを怒った。
「コテツ、あんたでしょ!」
「ワン?」
証拠は?そうしたふてぶてしい目と態度だった。
そして母もだ、娘に言った。
「まあそれ位はね、お部屋をお掃除してね」
「許さないわよ、そんなの」
「ワンちゃんはやったすぐ後に怒らないと駄目でしょ」
「だから手遅れっていうの」
「そう、だから許してあげてね」
「お母さんがそうして甘やかすから」
「お父さんもでしょ、今日はまだ帰ってないけれど」
それでもというのだ。
「というかあんたしか怒る人いないわよ」
「だからコテツもそんな我儘になったのよ」
「いいじゃない、別に」
「よくないわよ、けれど今度やったらね」
その時はとだ、かずみはやれやれといった顔で述べた。
「許さないわよ」
「じゃあこれで終わりね」
「仕方ないわね、じゃあコテツにご飯あげるわね」
「そうするのね」
「それからお部屋のお掃除してね」
そしてというのだ。
「お風呂に入ってね」
「晩ご飯ね」
「そうするわ、しかしね」
またコテツを見て言った。
「相変わらずやんちゃね」
「可愛いわよね」
「まあね、じゃあご飯あげるわ」
自分の部屋の掃除の前にとだ、こう言ってだった。
かずみは自分の部屋を掃除する前にコテツのご飯をあげた、そうして掃除をして入浴の後晩ご飯を食べた。そして寝る時にだ。
寝間着のジャージ姿でコテツに尋ねた。
「一緒に寝る?」
「ワンッ」
コテツはこの時も尻尾を横に振って応えた、そしてこの日も一緒に寝た。そのうえで次の日の朝も一緒に散歩に出た。その時のかずみの顔は実に晴れやかであった。
犬は遊びたい 完
2020・12・22
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