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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第63話:希望を灯す大魔術
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ていた。颯人なら、きっと彼女ですら驚く何かをやってくれると。そしてそれが、この場での勝利に繋がるものであると。
そして最後に颯人が指を鳴らした。
その瞬間、周囲の壊れていないスピーカーが一斉に起動し歌が流れだした。突然流れ出した歌に、フィーネは顔を顰めた。
「チッ、耳障りなッ! 何が聞こえているッ!?」
「歌? まさかこれが奇跡だとでもいうつもりか?」
フィーネが忌々し気に周囲を見回し、メデューサが颯人に侮蔑の籠った目を向ける。特にメデューサとヒュドラにとっては、意味のない事にしか思えなかったのだ。
だが響達には違った。彼女達は、この歌に込められた願い、熱意を確かに感じ取っていた。それは心だけでなく、彼女達が纏う鎧にも力を与えた。
「チッ!? 何処から聞こえてくる? この不快な、歌…………歌、だと――!?」
「あん? 歌がどうした?」
メデューサの何気ない発言に、聞こえてきたのが歌だと気付いたフィーネが戦慄しだした。こんな歌で慌てる理由が分からずヒュドラは首を傾げる。
彼ら魔法使いに分からないのは当然だ。彼らはシンフォギアがどういう物かを知らない。精々がノイズと戦う事が出来る、歌で戦う鎧程度の認識しかないのだ。
だから、次の瞬間起こった出来事に困惑するしかなかった。
歌と共に無数の黄色い小さな光の粒子が空へと昇っていく。その幻想的な光景に、メデューサとヒュドラは驚愕を隠せない。
一方で、颯人はその光景に満足そうな笑みを浮かべ奏と響に目を向けた。気付けば2人はしっかりと両脚で地面を踏みしめ立ち上がり、その顔には希望が満ちている。
「奏さん……聞こえますか。みんなの声が――――!!」
「あぁ、聞こえてるよ。みんなの歌が…………アタシ達を支える心が!!」
奏と響が拳を握る。希望を胸に宿した2人に、光が集う。
光は願い――
願いは歌に――
歌は力――
力は希望――
希望は、奇跡を巻き起こす!
「みんなが唄ってるんだ。だから、まだ唄える!!」
「アタシ達はまだ終わってない! みんながアタシ達を信じてくれてる! それならまだ――」
「「戦える!!」」
集った光が力となって溢れ出し、フィーネを、メデューサを、ヒュドラを吹き飛ばした。
「くぅっ!?」
「なっ!?」
「うおっ!?」
思わず後退りながら顔を手で覆うフィーネ達。その一方で颯人と、同じように力が溢れるクリスに覆い被さっていた透はその場から微動だにしていなかった。透はクリスに支えられながらもその場に立っている。
メデューサ達は訳が分からなかった。装者達は今の今まで死に体だった筈だ。少なくとも、立ち上がれたとしても弱々しい筈だ。
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