暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第63話:希望を灯す大魔術
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て応急司令室とも言える部屋へと入ると、お馴染みの司令部要員に加えてアルドとウィズ、そして未来の他数名のリディアンの制服を着た学生達が居た。
 部屋に入った颯人達に何人かは目を向けるが、室内の殆どの者、取り分け未来を始めとした学生達はそれどころではなさそうだ。1人――弓美はわんわんと泣いており、その泣いている弓美の前に居る未来も静かに涙を流している。

 颯人がチラリとディスプレイに目を向けると、そこでは奏達がジェネシスの魔法使いと戦闘している様子が見て取れた。だが見た所状況は芳しくなさそうだ。翼の姿は見えず、透は倒れたクリスに覆い被さりその背をヒュドラに滅多切りにされている。あまりに凄惨な光景に、創世と詩織は顔を青くしてディスプレイから目を背けている。

 そして今、ディスプレイの向こうで奏が魔法によって空間を繋げられた響の一撃に倒れ、その響もヒュドラの魔法により倒れてしまった。

「チッ!? あいつら、俺が居ないからって好き勝手しやがって――――!?」

 やりたい放題なジェネシスに颯人が怒りを感じすぐさま彼女らの救援に向かおうとする。

 その前に一緒に部屋に入ってきた少女が声を上げた。

「あっ! おかーさん、カッコいいお姉ちゃんだ!」

 少女が母親を離れ、朔也の座る席へと駆け寄っていった。母親は直ぐに少女の後を追い、朔也に頭を下げた。
 その際颯人はさり気無く一緒に移動し何気ない顔で朔也の周りに出来た人だかりの中に加わった。

「ビッキーの事、知ってるんですか?」
「えぇ……詳しくは言えませんが、うちの子はあの子に助けてもらったんです。自分の危険も顧みず、助けてくれたんです。きっと、他にもそう言う人が……」
「響の、人助け……」

 少女の母親の言葉を未来が噛み締めるように繰り返した。

 そう言えば、と颯人も思い出す。以前翼から聞いたことがある。響にとって人助けとは趣味の様なものであると。翼や奏はそんな響をどこか危なっかしく見ていたが……。

「ねぇ、カッコいいお姉ちゃん、助けられないの?」

 少女はディスプレイを見て、無垢な目で朔也に問い掛けた。こんな小さい子供ながら、上が危機的状況なのを理解したらしい。朔也だけでなく、室内に居る者達を心配そうな顔で見回した。

 この子の気持ちは分からないでもないが、しかしこの場にいる者達で出来る事は少ないと言わざるを得ない。颯人はそう思わずにはいられなかったし、未来もそれは同様の様だった。

「……助けようと思ってもどうしようもないんです。私達には、何も出来ないですし……」
「じゃあ、一緒に応援しよ! ねぇ、ここから話し掛けられないの?」
「ん? 応援…………ッ!!」

 少女が口にした応援と言う言葉を聞いた瞬間、颯人の脳裏に雷が落ち
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