第1部
ポルトガ〜バハラタ
グプタとタニア
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洞窟を抜けてからおよそ二週間。
バハラタまでの道のりは思いの外長く、途中小さな村や町に立ち寄りながらも、なんとか目的地についた。
町に辿り着くまでのこの二、三日は立ち寄れる村や集落もなかったため、森で食べられる木の実や果物を採取したり、ユウリが呪文で魚や獣をとったりと現地調達をしていたのだが、それでも日中お腹を満たすにはほど遠い量だった。
なのでバハラタに到着してすぐに向かったのは、町の入り口のそばにある小さなレストラン。
お昼をとうに過ぎており、店内には私たちの外には誰もいなかった。
そんなのお構いなしに私たちは、西日が射す窓際のテーブル席になだれ込むように座る。
そしてナギがすぐさま店員さんを呼び、メニュー表をひらひらと見せながら「ここに書いてあるの全部下さい」と一言言い残すと、そのまま彼はテーブルに突っ伏した。
「あ、あのー、メニューに書いてあるもの、全部ですか?」
どことなく気弱そうな男性店員さんが信じられないような様子でメニューを聞き返すが、しゃべる気力もない私は、無言で何回も首を縦に振る。
あわてて厨房に戻る店員さんを眺めながら、私もナギと同じようにうつ伏せになり目を瞑った。
「お前ら……この程度の飢えで力尽きるなんて、根性がないにも程があるだろ」
顔を上げると、向かいに平然と座るユウリが呆れた様子でこちらを眺めている。その隣にいるシーラも意外と平気な顔で、注文したお酒を早速飲み始めている。その様子に、私は思わず疑問の声を漏らした。
「えぇ……。なんで二人ともそんなに普通にしてるの?」
「うーん。もともとあたし、そんなに食べなくても平気だからかな? その分お酒は欲しくなるけど」
「単純にお前らの胃袋が大きいだけなんじゃないのか?」
「でも、私よりユウリの方がよく食べるよね」
なにしろエマが作ったあの量を一人で食べるくらいなのだ。
この中で一番の大食漢は実はユウリなのに、なんでこんな空腹状態に耐えられるんだろう?
「俺は昔からこういう状況に慣れてるからな」
「どういうこと? テント暮らしでもしてたの?」
「……昔ジジイに山に放り出されたとき、一ヶ月山から出られないときがあった。たしかあれは七歳の頃だったな」
「ななさい?!」
そんな小さい頃から過酷なことをさせられていたなんて、ユウリのおじいさんってどういう人なんだろう?
「それって、勇者だからそういう修行をしてきたってこと?」
「……ああ、そうだな。少なくともあのジジイはそのつもりだったんだろうな。俺が二、三歳のときに親父が家を出るまでは、ただの耄碌ジジイだったんだが」
そう言うと、ユウリの表情がわずかに陰
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