第1部
ポルトガ〜バハラタ
グプタとタニア
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も自分がここにいろと言ったからだろうか、これ以上何も言わなかった。
「もういい。聞き込みもしたが、誰も当時の状況を見てるやつはいなかった。近くに怪しい場所があるかも聞いてみたが、誰も知らないようだ」
「オレも。というか、もともと人通り少ないし、悲鳴が聞こえたときにはもうタニアさんはいなかったみたいだぜ」
ナギの報告により結果が得られなかったことに、ユウリは嘆息した。
「仕方ない。しらみ潰しに探すしかないな」
彼の言葉に、辺りに重い沈黙が流れる。多少なりとも罪悪感を感じた私は、なんとかこの状況を打破しようと、必死に頭の中で考えた。そして、ふと一瞬脳裏に光が宿る。
「ねえ、私に考えがあるんだけど……」
私の提案に皆が耳を傾ける。そしてその考えを聞いたとたん、いきなりナギが凄まじい形相で声を荒げた。
「バカか!! そんなことやったらお前の身が危ないだろ!!」
まさかナギにバカと呼ばれるとは思わなかったので、私は面食らってしまった。
「ご、ごめん。でも、しらみ潰しに探すより、こうした方が確実じゃない?」
「だからってそれは……だめだ、同意できない」
「でも、今こうしてる間にも、タニアさんがいつ危険な目にあうかわからないじゃない! 私は武術があるから大丈夫だけど、タニアさんは普通の女性なんだよ?」
「それは……」
私の説得に、ナギは拳を握りしめながらも言い澱む。
「……時間がない。お前がいいなら、その作戦で行こう」
「! うん、わかった!」
ユウリの鶴の一声に、私はすぐさま了承した。
「……あーもう、わかったよ!! その代わり、お前に何かあったら必ず助けるからな!!」
「ありがとう!」
身の頭を乱暴にかきむしり、不承不承ながらもそう言い放つナギ。
「おい、ジジイ。あんたにも協力してもらうぞ」
「……??」
ユウリが戸惑うマーリーさんに声をかける。
「大丈夫です、きっとうまくいきますから!! 安心してください!!」
「そ……そうか! なら、君たちにすべてを委ねるとしよう」
私が必死に励ますと、マーリーさんは納得したようだ。
「そうと決まれば、急いで準備するぞ」
時間を惜しむかのように、ユウリが主導する。
こうして、タニアさん救出作戦が始まった。
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