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レーヴァティン
第百八十四話 馬封じその一
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                第百八十四話  馬封じ
 久志は軍勢をブダペストに向かわせていた、その途中戦と言っていいものはなく諸侯達はむしろ自ら進んで帝国に入っていた。
 彼はその中を進んでいた、そしてブダペストまであと少しとなった時に仲間達と軍議を開いてこう言った。
「どうもブダペストとその周りの領主は帝国に従うつもりはないらしいからな」
「だからですね」
「ああ、戦をな」
 それをとだ、久志は夕子に話した。
「覚悟するか」
「そうしてですね」
「実際に戦になったらな」
 その時にとはというのだ。
「もうな」
「その時は、ですね」
「倒すな、それでそのブダペストの周りの諸侯の軍勢は」
「五万です」
 夕子はすぐに答えた。
「騎兵と歩兵、術者、砲兵を合わせて」
「それで五万だよな」
「騎兵が主力です」
「この辺りは平地だしな」
「ワルシャワの方と同じで」
「騎兵が主力でな」
「間違いなく彼等を使って戦ってきます」
「そうだよな、騎兵が主ならな」
 久志は強い顔になって述べた。
「こっちも騎兵を出してな」
「馬には馬ですね」
「そしてな」
 そのうえでと言うのだった。
「さらにな」
「鉄砲に術、大砲ですね」
「あと長槍もな」
 この武器を使う隊もというのだ。
「出してな」
「そうして戦いますね」
「騎兵は確かに強いさ、しかもこの辺りの騎兵はな」
「特に強いですね」
「ああ、けれどな」
 それでもというのだ。
「こっちは二十万の兵にな」
「それだけの兵種が揃っていますね」
「だからどうにも戦えるさ」
 こちらが有利にというのだ。
「だからな」
「絶対に勝ちますね」
「ああ、ただこっちは大軍でこれまでトランシルバニアから戦がなくてな」
 そうした状況で軍を進めてというのだ。
「兵達も油断してるな」
「士官それも将帥までもが油断している」
 正が腕を組んで言った、野営地の本陣の天幕の中で軍議を開いているがその場で彼は強い声で言った。
「意識しなくてもな」
「ああ、だからな」
「そこを衝かれてだな」
「痛い目見るかもな」
「こうした時にこそだ」
「気を引き締めないと駄目だな」
「だがそれを言ってもだ」
 具体的に気を引き締める様に言ってもというのだ。
「自覚していないからな」
「引き締めていますって言われて終わりだな」
「そして将兵達は油断したままだ」
「痛い目を見かねない状況はそのままだな」
「だからだ」
 それでというのだ。
「俺達はだ」
「それをどうするかだな」
「そうだ」 
 まさにというのだ。
「ここはな」
「ちょっと言うか、この辺りの騎兵のことをな」
「これから俺達が戦う相手のな」
「連中は本当に強いからな」

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