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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
第8話
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「おはよう。 これより、ゲリラ掃討作戦に出発する。
 作戦内容は従前から説明しているとおりだが、理解できているな?」
 
ゲオルグの問いかけに隊員たちは"はい!"と声をそろえて答える。
ゲオルグはその様子を見て満足そうにうなずいた。

「よろしい。 本作戦は十分な時間をかけて準備をしてきた。
 全員がそれぞれの役割をしっかり果たしてくれることを期待する。
 私からは以上だ」

短い訓示を終えると、ゲオルグはシャッハの方に身体を向けて
"何か話されますか?"と尋ねた。
シャッハは"では一言だけ"と答えると、隊員たちに向かって話し始めた。

「ゲリラ集団がアジトにしている遺跡は、教会でも全容は把握しきれていません。
 作戦中も何があるかわかりませんので、気を緩めないようにお願いします。
 あと、これは何度もお話ししていることですが、遺跡そのものが貴重な
 文化財ですので、可能な限り破壊は避けてください。
 以上です。よろしくお願いします」

シャッハが話を終えると、シンクレアが"では全員輸送車に乗車"と隊員たちに
指示を出した。
隊員たちが2台の人員輸送車に乗り込むのを見届けると、ゲオルグは最後に
乗り込んだ。

彼が席につくと輸送車はすぐに走り出した。
輸送車は雪道をものともせずに走っていく。
30分ほど走ると周りの景色は郊外の丘陵地帯のものへと変化する。
雪に覆われたなだらかな丘がいくつも重なる中を走り、
輸送車は目的地の遺跡にほど近い場所で停車した。

ドアが開くとゲオルグを先頭に次々と隊員たちが下車していく。
そして、輸送車の前に素早く整列した。

この作戦では2個分隊を編成し、1つをゲオルグが指揮し、もう一つはシンクレアが
指揮することになっていた。
ゲオルグの率いる分隊と同行するシャッハは、聖王教会が管理する遺跡での
作戦遂行にあたっての情報提供と遺跡の損傷状況の確認がその役割である。

「シンクレア、頼むぞ」

「はい。 ゲオルグさんも、気を付けて」

ゲオルグはシンクレアと短い言葉を交わすと、身をひるがえして
遺跡に向かって歩き出した。
シャッハと分隊員たちがその背中を追う。

新雪が足にまとわりつき、ゲオルグは歩きにくさに顔をしかめる。

「この雪、歩きにくいですね」

「そうですね。 うっとおしいったらない」

速足で自分の隣に並んだシャッハの声に、ゲオルグは苦笑交じりに応じた。

雪原に多くの足跡を残しながら15分ほど歩くと、前方に石造りの建造物が現れた。
ゲオルグたちはその西側にある森を抜けて建物の裏側に回り込むと、
物陰で足を止めた。

「シンクレア、準備はいいか?」

『はい。準備完了です』

通信を介した
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