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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
第8話
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グにヨシオカが声をかけると、ゲオルグは再び足を止めた。

「なんでしょう?」

ノブに手をかけたまま半身まで振り返ってゲオルグは尋ねる。

「業務はクロスに引き継いでおいてくれ」

組んだ両手をほどいたヨシオカがそういうと、ゲオルグは無言で頷いてから
ドアを開いて廊下へと出た。

廊下に出たゲオルグは、ドアを閉めるとふぅっと大きく息を吐いてから
自席のある部屋に向かって歩き出した。

(今回はめんどくさい任務だったな・・・)

ゲオルグは廊下の白い天井に目を向けると、今回の任務を伝達されたときのことを思い返した。





「理由は二つある。
 1つは聖王教会のカリム・グラシア女史からのご指名。
 もう1つは・・・」

ヨシオカはそこで一旦言葉を切った。
そしてゲオルグの方に1枚の紙をおしやった。

「これだ」

「拝見します」

ヨシオカが差し出した紙を手に取り、ゲオルグはそこに書かれた文字を見た。
直後、ゲオルグの表情がサッと変化する。

「なるほど・・・こういうことですか」

ゲオルグの口元がニヤリとゆがむ。

「この行政官、何をしたんです?」

「知らんよ。上層部が何を思ってこの指示を出したかなど、俺ごときが知らされるわけもない」

「どうでしょうね。 今までだってそうでしたが、それが本当かどうかなんて
 それこそ俺には知る由もありませんし」

肩をすくめて冗談めかした口調でそう言うと、ゲオルグはもう一度手元の紙に目を落とす。

「それにしても、殺すのは簡単ですが適当な人間に罪をなすりつけろ、ってのは些か厄介ですね」

ゲオルグが真剣な口調に戻ったのを察し、ヨシオカは神妙に頷く。

「それで、今回のオマケが役に立つというわけだよ」

ヨシオカの言葉にゲオルグは首をひねって数秒考えこむ。
そして何かをひらめいたのか、ああ、と声を上げてニヤッと笑った。

「なるほど。このテロ集団とコイツがつながっていたように装うわけですね。
 で、内部抗争の末に殺された、と」

ゲオルグの言葉にヨシオカは頷く。

「そうだ。 だから殺害手段は実体の刃物がいいだろう。
 あとは状況証拠を残すようにな」

「では、殺害時に着用していた服装を目撃させて、テロ集団の根拠地に残すようにしましょうか」

「それはいいな。 あと、逃亡車両なんかも使えるといいだろう」

「承知しました。 ではその線で進めましょうか」





(結局、アイツは何をやったのか・・・。まあ、気にしてもしょうがないんだけどな)

「あら、ゲオルグじゃない」

ヨシオカとのやりとりを思い返しながら歩いていたゲオルグが、
諜報課の大部屋まで近づいたとこ
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