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俺様勇者と武闘家日記
第1部
ポルトガ〜バハラタ
ノルドの洞窟
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 お昼を済ませ、早速ユウリの呪文でアッサラームに向かうと、なにやら物々しい雰囲気に包まれていた。
 商人の町とは言うが、これほどまでに商人たちでごった返している風景を見たことがない。
  しかも人々が忙しなく動き回っている様は、活気があるというより、皆焦燥感に苛まれているという感じに見える。
  つい先ほどまで訪れていた時とは全く違う町の様子に、私たちは町の入口に突っ立ったまま、面食らった顔をした。
「なんか……前来たときより雰囲気違くねーか?」
  ナギが戸惑いながら呟く。
「だよね?   やっぱりそう思ったの私だけじゃなかった!」
「あたしの知ってる町じゃない!   こんなの初めてだよ!」
  シーラも辺りを見回しながら疑問の声をあげる。
「もしかしたら、ロマリアの関所の急な封鎖で、ポルトガに行く商人達がここで足止めを食ってるのかもな」
  ユウリの一言に私は得心した。そっか。私たちは魔法の鍵で通れたけど、普通の人は通れないんだった。急にポルトガで商売が出来なくなったから、困ってるんだ。
「きっとここもじきに混乱するぞ。今はあまりここに立ち入らない方がいいかもな」
  ユウリの意見に、私たちはそろってうなずく。と、その時だった。
「あらやだ、誰かと思ったら、ユウリくんたちじゃない!」
  はっ! この声は?!
 なぜかつい身構えて、私たちは声のする方を振り返る。
 すると、予想通りの人物が驚いた様子でこちらに向かって手を振りながら近づいてきた。ただひとつ予想と違うのは、彼が身に付けているのがバニースーツではなく、立派な鎧姿だということだ。
「アルヴィスさん?!  どうしたんですか、その格好!?」
 いや、逞しい体つきの大柄な男性の鎧姿なんて、普通に見ればなんら違和感などないのだが、相手がアルヴィスさんだと、何かただならぬことが起きているのではないかと心配になってしまう。
「実はね、この町に非常事態が起こってしまったの。聞いてるかしら、ポルトガが輸入規制が行われたこと」
「ああ。今関所が通れないらしいな」
  さすがに今ポルトガから来ました、とは言えず、適当に受け流すユウリ。
「そのせいで、こっちにたくさんの商人が集まっちゃってね。治安も悪くなってきてるから、急遽アタシたち元冒険者が警備や護衛をすることになったの」
  人が多くなればそれだけ揉め事も多くなる。それに元戦士で、ユウリのお父さんであるオルテガさんと共に魔王討伐の旅に出たこともあるアルヴィスさんなら、町としても頼もしい限りだろう。
  けれど当の本人は、不服そうだ。
「でも、アタシとしては、ビビアンみたいに歌や踊りで町の人を癒す方に回りたかっ
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