第1部
ポルトガ〜バハラタ
ノルドの洞窟
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ホビットがタフな種族なのかわからないが、体当たりして抜け道を作るなんて、人間にはなかなか真似できない。
「この崩れた土壁はどうするんですか?」
「勝手に誰かが通るわけにはいかんからな。またあとで修復するんだ」
ええ!? じゃあいちいち壊しては直してるんだ。でも、水路とか作るくらいだからこういう作業は得意なんだろう。
「ここを通ってまっすぐ進めば、洞窟から出られる。洞窟を出てずっと南に行ったところにバハラタが見えるはずだ」
「本当? ありがとう、ノルドさん」
私がお礼をいうと、ノルドさんは白い歯を見せた。
「わしにはこれくらいしか出来んが、また何かあったらいくらでも力を貸すぞ」
「そう言ってくれると助かる」
「ありがとうね、ノルちゃん♪」
「ノルドのおっさんも、体に気をつけろよな」
それぞれ思い思いに言葉をかけると、ノルドさんは笑顔で私たちを見送った。
「なんか、いい人だったね」
最初こそ不審者と思い排他的な態度をとっていたノルドさんだったが、事情を話せばわかってくれる人……いやホビットだった。
「変な奴だったけどな」
相変わらずの物言いのユウリだったが、最初にノルドさんと話しているときと比べると、わずかに表情が和らいでいた。
ポルトガの王様のことも凄く心配してるようだったし、ここはノルドさんのためにも、なんとしてでも黒胡椒を手に入れなくてはならない。
私は改めてそう決意し、新たな地へと歩き出した。
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