第1部
ポルトガ〜バハラタ
ノルドの洞窟
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連中だな。そいつらの正体や目的はわからないが、バハラタに行ったら注意しなければならないな」
ユウリがそう言うと、ノルドさんは申し訳なさそうに眉を下げた。
「ううむ。わしのせいで厄介ごとを増やしてしまったようだな。すまん」
謝るノルドさんに、別段気にする風もなく肩に手を置くナギ。
「あんたが気にすることじゃねえだろ。ま、本当かも知れねえし、俺たちの目的に関わることでもないだろ」
「そーだよ! もし何かあってもユウリちゃんが何とかしてくれるし、大丈夫大丈夫☆」
シーラも明るく言い放ち、ノルドさんを励ました。
「そう言ってくれると気が楽になる。本当にすまんかった」
二人の励ましにいくらか立ち直ったノルドさんはもう一度お礼をいうと、洞窟の奥にある細い通路に私たちを誘った。あとに続いて歩きだすと、彼は話を続けた。
「わしとポルトガの王とは古くからの付き合いでな。あいつに頼まれてこの辺り一帯の水路を作ってやったりもしたんだ」
そういえば、雨の少ないアッサラームでも大衆浴場があったり、いろんな場所で水が使えたりしたけれど、それってノルドさんのおかげだったんだ。
「最近めっきり音沙汰なかったが、あいつに会ったんだろ? 元気にしとったか?」
「いや。会ったのは大臣だけだ。この書状も大臣から手渡されただけだから直接は会っていない」
ユウリが正直にいうと、ノルドさんの表情が曇る。
「なんと! まさか病気か? しかし、手紙を書けるだけの元気はあるようにみえるが……」
「ふん。お前がバハラタまでの道を案内してくれれば元気になると大臣は言っていたぞ」
ユウリのその言葉を聞いて、一瞬ぱっと顔が明るくなるが、それは一体どういうことなのかと首を傾げる。
「よくわからんが、とにかく旦那方をバハラタまで案内すればあいつが元気になるんだな? ならここで待ってくれ」
たどり着いたのは、行き止まりの壁だった。見たところ人が通れるほどの穴はなく、完全に塞がっている。
けれどノルドさんはその場から一歩引いたかと思うと、その壁に向かって勢いよく走り出した。
「のっ、ノルドさん?!」
まさか壁に激突するのでは、と思ったらそのまさかだった。
激しい衝撃音とともに、ガラガラと土塊が崩れていく。肝心のノルドさんはというと、壁の向こう側の地面に突っ伏していた。
「大丈夫ですか?! ノルドさん!!」
「大丈夫ー!?」
私とシーラが壁際に駆け寄ると、ノルドさんは何事もなかったかのようにむくりと起き上がった。
「うむ。ちょっと鼻を擦りむいたが、大丈夫だ」
逆にそれだけで済んだの!? ノルドさんがタフなのか、それとも
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