暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第1部
ポルトガ〜バハラタ
ノルドの洞窟
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たんだけどね」
 聞けば、ビビアンさんや劇場の人たちも、普段の仕事のほかに、ボランティアで興行を行っているらしい。アルヴィスさんだけじゃなくビビアンたちも彼女なりの方法で、町の人のために色々なことをしているということだ。つまり、この町が今いかに大変だというのが窺える。
「ま、今はそんなこと言ってる場合じゃないんだけどネ。……あらやだ。あんなところにスリの集団がいるワ★ 捕まえちゃおうっと」
 話し込んでる間に犯罪者を見つけたアルヴィスさんは、まるでその辺にいる蝶々を捕まえに行くようなノリで群衆に突っ込んでいく。
 ほどなくして、生気を失ったスリの集団を引き連れたアルヴィスさんが、いつもと変わらない笑顔でこちらに戻ってくるのが見えた。
  それはさながら掘った芋づるを引きずっているようだった。
「ちょっとこのコたち連れてくから、ここでお別れするわネ。アナタたちも、巻き込まれないうちにこの町を出た方がいいワ。それじゃあね☆」
 一体どこへ連れていく気なんだろう。言い知れぬ不安をよそに、アルヴィスさんは爽やかに去っていった。
「……とりあえず、あいつの言うとおり急いでここを出た方が良さそうだな」
  色々考えることを放棄したのか、投げやりな様子で言い放つユウリ。
  何はともあれまず向かうのは、バーンの抜け道があるという、ノルドの洞窟。
 私たちは王様の依頼を達成させるため、アッサラームには寄らず、第一の関門であるノルドの洞窟へと向かうことにしたのだった。



  アッサラームを離れた私たちは、すぐにその北にある洞窟へと足を運んだ。思ったほど遠くはなく、半日ほどでたどり着けたのは幸いだった。
 洞窟はそこかしこに明かりが点っているのか奥に進んでもなお明るく、開けた場所に出るとそこは居住空間となっており、ベッドやテーブル、本棚などが揃えられていて、生活するには十分な広さを保っていた。
 どうやらここに、ポルトガ王の知人であるノルドさんがいるらしい。
 どこからが玄関なのかがわからないので、取り敢えずノルドさんを探すため辺りをうろうろする私たち。けれど、ホビットらしき姿は見当たらない。と言っても、そもそも今までホビット族を見たことがないので判断する術がないのだが。
「本当にここにノルドってやつがいるのか?」
 目の前にあるテーブルの下を覗き込みながら、ナギが不満を漏らす。
「こんなところに居住スペースを作るのは、ホビットくらいなもんだろ」
「ユウリはホビットのこと知ってるの?」
「文献でしか知らないがこういう種族だろ、確か」
「えー?  それって実際に会ってみないとわかんないじゃない」
 ホビットを完全に色眼鏡で見ているユウリの発言
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