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リュカ伝の外伝
天使とラブソングを……?(第8幕)
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を買って作曲を迫られる事になるでしょう。そうなった時、私には二匹目のドジョウすら生み出すことが出来ず、また苦しむことになります。どうか陛下の曲を私が奏でるというスタンスで世に広めさせて下さい」

「なるほど……そうだね。ゴメンね、無用どころか迷惑な申し出をして」
「と、とんでもございません! 本当に光栄なことでございますから!! こちらこそ申し訳ございません」
私の気持ちを理解してくれた陛下は……まさかの、頭を下げられ謝罪を告げられた。私も慌てて頭を下げ、陛下のお気持ちを踏みじにってしまったことを詫びた。

「う〜ん……でも出来ればぁ……王様発進って事を最後まで隠して世に広めてほしい」
「さ、最後まで隠す?」
最後って如何言うことだろうか?

「うん。『王様が作った曲です』って発表するんじゃなくって、発表して『誰が作った曲?』って聞かれるまで制作者のことには触れないでいてほしい。『アイリーンちゃんが作った曲?』って聞かれても『いいえ』って答えるだけで、なるべく王様発進って事を隠してほしい」

「か、畏まりました……」
「納得はしてないね(笑)」
顔に出てたのだろうか……私は思わず顔を伏せる。

「これはピエッサちゃんに『ドラクエ序曲』をプレゼントした時にも言ったんだけどさ……その曲を理解した上で、評価を出してほしいんだ。王様が作ったから良い曲だって言われても……ねぇ」
そう言えばピエッサが言ってたわ。

「はい。納得も致しました」
「うん、よかった。じゃぁ君にプレゼント……じゃなくって、報酬として渡す曲なんだけど、タイトルは『春よ、来い』だ。明日、城に来るまでに楽譜を渡せる様にするけど、アイリーンちゃんの才能(能力)なら、この場で弾き語れば覚えれちゃうでしょ?」

「自信在ります!」
「即答(笑) 良い返事だ。じゃぁ早速ピアノを借りよう。オーナーはあの伯爵かな?」
陛下は私の即答に苦笑いすると立ち上がり、ピアノの使用許可を得る為にオーナーの“イチーム・ハバローネ伯”を指さす。流石伯爵閣下……陛下にお目にかかったことがあるらしい。

「ハバネロ伯……だったけ? ピアノ借りるよ!」
名前は忘れかけられてる。
そんなことは気にする素振りも見せず、陛下は優雅な動作でピアノの前に座った。ここからでは店の柱が邪魔で、陛下のお姿は見えない!

陛下のお姿は見えないが、何音か調律を確かめると弾き始めた。
そう……まさに芸術とはコレのことだと思う素晴らしい曲を!

アイリーンSIDE END




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