暁 〜小説投稿サイト〜
リュカ伝の外伝
天使とラブソングを……?(第8幕)
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
事なさそうだけど……」
私は好奇心から疲れた身体に鞭を打ち立ち上がる。

そして納得はしてないキャロの後に続いて店内へ舞い戻る。
客への対応を素早く出来る様に店員達が待機している箇所へキャロと一緒に訪れて、彼女が指さすテーブルに視線を向ける。

「あの金持って無さそうなオッサン」
そうキャロは教えてくれた。
確かに誰か男性客が座ってる様だが、薄暗くて顔までは見えない。

私の存在に気付いた客は、テーブルのキャンドルを手に取り、顔の位置まで持ち上げて自らをアピールする……
そしてそのアピールされた顔を見た私は「陛下!」と叫び、慌てて陛下の席……お席まで駆け出したのだ。

「へ、陛下……わ、私めに何かご用でしょうか!?」
「しー……まだお客さんも居るのだし、大きな声で話すのは迷惑だよ」
人差し指を立てて口に近付け、私の大声を窘める。

ハッとなって周囲を見渡したら、案の定全員の視線を集めてしまっていた。
きっとお忍びで来店されたのに、私はとんでもない失態をしてしまった。
「も、申し訳ございません」

「あはは……仕方ないよ、いきなり僕が現れちゃぁねぇ」
優しく私の失態を許してくださる陛下……
そしてエレガントな動作で対面する席に座る様ジェスチャーで促された。

私は席に座り、背筋を伸ばして陛下に対面する。
「まぁそんなに緊張しないで。これでも飲んでよ……まだ口を付けてないから。美味しいよこの店のオレンジジュース」

「いただきます」
実際喉が渇いてたし、緊張で水分を欲してたし、促されるまま陛下のオレンジジュースを頂いた。だが陛下がお口を付けてた方が私は嬉しかった。

「さて……余りダラダラと無駄話をしても仕方ないし、いきなりだけど本題に移らせてもらう」
「は、はい!」
また声が大きくなってしまった。

「いや……そんなに緊張するほど大した用件じゃないんだ。ただちょっと仕事を依頼したくって……」
「はい。お引き受け致します!」
私は即答……と言うか、半ば食い気味に返答した。

「まだ仕事内容を言って無いんだけど(笑)」
「いえ、陛下からのご依頼を断る気など毛頭ございません!」
今度は何とか自重して小声で答えることに成功した。

「う〜ん……色々複雑だから返答は内容を聞いてからにして欲しい」
「す、すみません……」
「いや良いんだ。なんせ人目があるからこの場で仕事内容は話せないからね」
「この場で話せないのですか?」

私が周囲の注意を引きつけてしまっただからだろうか?
だとしたら私はとんでもない愚かな女だ。
心を入れ替え音楽に真っ直ぐ向き合う様にしても、生来の愚かさは無くならないのだろう。

「別にアイリーンちゃんが周囲の視線を引きつけたから話せない訳じゃなくて
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ