第1部
ポルトガ〜バハラタ
港町ポルトガ
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「うわあぁぁ!! キレイ!!」
早朝。夜明け前に出発した私たちは、港町ポルトガに向かうため、海岸沿いの街道を歩いていた。
やがて東の空がオレンジ色に染まり始めると、果てしなく広がる水平線が眼下に見えた。水面はキラキラと光り輝き、朝を待つ鳥たちが勢いよく飛び立っていく。
海から昇る日の出を生まれてはじめて見た私は、思わず歓喜の声をあげた。
ナギも海をみるのは初めてらしく、目を輝かせながら日が昇っていく様子を眺めていた。
「海ぐらいで何バカみたいにはしゃいでるんだ」
なぜかうんざりした様子でこちらを見るユウリ。
「ユウリは海は初めてじゃないの?」
てっきりアリアハンから出たことないのかと思ったのに。
「小さい頃からクソジジイに無理やりアリアハンの近くの海に引っ張り出されて、魔物退治の修行をさせられてたからな。むしろトラウマだ」
「そ、そうなんだ」
思いがけずユウリの過去を知ることが出来たと同時に、小さい頃からそんな大変な境遇にあっていたということに同情してしまった。ユウリのおじいさんって、いったいどういう人なんだろう。
それに、なんで旅に出る前にレベル30まで上がっていたのか、謎が解けた。そりゃ小さい頃から魔物を実際に退治してれば、強くもなるのだろう。
「いつまでも突っ立ってないで、早くポルトガに行くぞ」
「あっ、そうだった」
そうユウリに急かされ、我に返る私。ボーッとしてるナギに呼び掛けながら、私たちは旅路を急いだ。
お昼過ぎになってようやく私たちがたどり着いたポルトガの町は、昔から港町として栄えて
おり、他国との交易も盛んに行われていた。
また造船技術も進んでおり、船に関する職業に就いている人口は、ユウリ曰く、町の四分の一にもなるのだとか。
海岸沿いに作られた港には、通常なら多くの商人や船乗りで賑わっているのだが、鎖国状態の今では閑散としていた。
主に魚介類を売っている市場もアッサラームのような活気は感じられず、寂しい印象を受ける。
「本当ならもっと賑やかだったんだろうね」
名残惜しそうに私が言うと、
「そうだねえ。でも、酒場にいったらここより人はいっぱいいると思うよ♪」
と、横にいたシーラが瞳を輝かせながら答えた。
「いや別にそういうところに行きたいわけじゃないから!」
危ない危ない。もう少しでシーラの酒場に行きたい(=お酒飲みたい)アピールに引っ掛かるところだった。
どことなく残念そうなシーラを尻目にしながら私は気を取り直し、お城へと向き直る。
綺麗に整備された並木道を通り抜けると、その先にはレンガ造りの大きな橋がか
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