第1部
ポルトガ〜バハラタ
港町ポルトガ
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かっていた。橋の下には海へと続く大きな川が流れており、橋から川までは結構な高さがある。
本来ならこの橋を通る人もたくさんいたんだろうけど、今は私たちを含め数人程度しか往来していない。
橋を渡った先には、左手に定期船の発着場、道を挟んだ右手には私たちの目的地である、ポルトガ城がある。ちらっと発着場の入り口を見たが、やっぱり『当面の間運休中』との看板が掲げてあった。
落胆しつつも先に進むユウリの後をついていく。ユウリが近くにいたお城の衛兵に声をかけると、その衛兵は慌てた様子でお城の中に入っていった。
「どうしたの? なんかあった?」
私が尋ねるが、ユウリも思い当たる節がないのか、首をかしげた。
「知らん。俺が勇者だと言ったら、王様の話を聞いてもらえるかを聞かれた」
「え、またそのパターン?!」
この似たような展開は、つい最近ロマリアで起きたことを思い出した。思わず私は苦虫を噛み潰したような顔になる。
「まさかまたどっかの盗賊から何かを取り返してくれないか、とか言うんじゃねーだろうな?」
ナギも私と同じことを思ったのか、心底嫌そうな顔で言う。
「俺が勇者だと知って皆頼るのはわかるが、こう毎回振り回されると魔王討伐に支障を来すのは時間の問題だな」
ユウリも度重なる頼み事に、いい顔を示してはいないようだ。
「でも、逆に船を借りられる絶好のチャンスかもしれないな。条件にもよるが」
確かに、頼み事を引き受ける代わりに船を借りられるように交渉出来るかもしれない。
まあそれは、頼み事の内容にもよるけれど、一国の王が困ってるってことは、簡単には解決できない問題なのだろう。交渉次第ではなんとかなるのかもしれない。
ほどなくして、さっきの衛兵が戻ってきた。そして、是非王様にお会いになってくださいといいながら、私たちを城内へ案内した。
「よくぞ参られた! 勇者殿!」
そう言って歓迎してくれたのは、王様ではなく隣にいた壮年の男性だった。おそらくこの国の大臣だろう。王様は玉座には座っておらず、この場にいるのは大臣だろう男性と私たち、そして数人の衛兵のみである。
「王は今話をできる状況ではないのでな。わしが代わりに話を致そう。わしはこの国の大臣であるが、今は王の代わりに政を行っている。この国に関して聞きたいことがあれば、何なりと聞くがよい」
その話を聞いて、私たちはお互い顔を見合わせた。そしてユウリが一歩前に出て口を開く。
「では、早速ですがお聞きしたいことがあります。諸外国との交易を禁止したとの話は聞いております。ですがなぜ今、関所を封鎖したのでしょう? それほどまでに急がれた理由とは?」
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