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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第61話:押し上げる者と飛び立つ者
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? 奏は翼と共にアームドギアを構えながら考える。
まず彼なら真っ向からぶつかるような真似はしない。双方の勝利条件が違うのだから、まともにやり合う事に意味がない。
奏は何とか翼を突破させ、更に追撃させない事。フィーネ達はとにかく奏達を妨害する事が勝利条件だ。
手元にあるのはガングニールのアームドギアのみ。翼もそれは同様だ。これが颯人であれば、手品道具を色々持っていただろうし周囲の状況を利用して上手くあの3人を撹乱できただろうに。
そんな事を考えている間にも、カ・ディンギルの再チャージが進んでいた。その砲口にはそれを証明するかのようにエネルギーが集まり、その光が夜だと言うのに怪しく周囲を照らしている。
「ッ!? そうだ、これだ!」
その時、翼がこの状況を打開する案を閃いた。今ある手の内で、確実にカ・ディンギルに取り付き更に追撃を妨害するにはこれしか方法が無い。少なくとも翼には思い付かなかった。
「奏、これなら────」
翼は奏に思い付いた策を小声で伝える。それは非常に危険を伴う作戦であり、奏はそれを聞かされた時首を縦に振ることは出来なかった。
「そりゃ流石に危険すぎる!? 翼だって、ただじゃ済まないぞ!?」
「でも他に手はない! 時間も無い。これくらいしなければ、危険を冒して月の破壊を食い止めた雪音や、雪音を守った北上に合わせる顔が無い。頼む奏!」
もうこれしか手が無いのだと力説する翼に、奏は苦しそうに顔を顰める。しかし上を見上げれば今にも発射されようとしているカ・ディンギル。迷っている暇はない。
「他に手はない、か。…………分かった……翼!」
「なに?」
「……死ぬなよ」
「フフッ……当然!」
翼の提案に頷いて答えると、2人は拳をぶつけ合う。そして奏は覚悟を決めフィーネ達に向けて駆け出した。
「来い! アタシが相手だ!!」
「1人で来るか! 無謀にも程がある!」
「私がやる。無策で突っ込むなど、的にしてくれと言っている様なものだ」
メデューサが右手の指輪を交換しようとするが、目当ての指輪が見つからないのか無防備な姿を晒す。
「な、何? 何故!?」
「おいどうした?」
らしくない慌て方をするメデューサについそちらに気を取られるヒュドラ。その所為でフィーネ以外の対応が遅れた。
「これでも喰らいな!!」
[SPEAR∞ORBIT]
奏が放つ『SPEAR∞ORBIT』が3人に襲い掛かる。巨大化したアームドギアが迫る光景に、反応が遅れたメデューサとヒュドラが身構える。
「舐めるな!?」
[ASGARD]
しかし迫る巨大アームドギアを、フィーネが鎖鞭で組んだ陣による障壁で防ぐ。1枚だけでなく複数重ねた障壁は、巨大化し
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