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レーヴァティン
第百八十三話 自害その二

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「伏兵だってな」
「置ける場所多くてな」
「よくこんな城造ったな」
「細工に細工を尽くしてな」
「凄いもんだぜ、皮肉抜きに」
 久志は感嘆の言葉すら出した。
「本当にな、けれどな」
「マップはあるし」
「だからな」
 それでというのだ。
「そんな城でもな」
「進めるな」
「少しずつでもな」 
 例えそうでもというのだ。
「進んでいって」
「領主のところに行こうな」
「まあその進むのもな」
 久志は城門、自ら開いたそこから両手を挙げて出て来る兵達を見て美奈代に話した。
「罠をな」
「一つ一つ潰していってな」
「進んでいってるしな」
「もうこれでや」
「城の罠はこれからも使えないな」
「というか普通に住んでてな」 
 美奈代はこうも言った。
「罠が多いとな」
「自分もかかりかねないからな」
「そうなったら難儀やし」
「この戦が終わったらもう罠なんて必要ないだろ」
 それでというのだ。
「もうな」
「それでやな」
「ああ、潰しておいてな」
「二度と使えん様にしとくな」
「そうしてな」
 久志はさらに話した。
「この城もな、戦の後はな」
「普通の砦として使うな」
「そうするな」
 この浮島では城は本来街だ、それでこの城も本来の意味では砦になるので二人もこう話したのである。
「これからは」
「罠とかないな」
「そうするな、しかしな」
 久志はここで麻友を顰めさせてこうしたことも言った。
「城の中でも殆ど戦闘になってないのにな」
「血の匂いがするね」
 剛が応えた。
「どうも」
「そうだよな」
「そんな気がするね」
「何でかっていうとな」
「やっぱりこのお城で領主が散々やってきたからだよ」
「自分で拷問して殺すことも好きだったっていうしな」
「だからね」
 そうした者の城だからだというのだ。
「血生臭いのもね」
「当然か」
「いつも人を殺していたら」
 そうした場所ならというのだ。
「普通にね」
「血の匂いに満ちるんだな」
「そうなるよ」
「嫌なことだな」
「うん、やっぱりあの領主はね」
「そうした奴だな」
「愛国心があって軍略も備えているけれど」
 それでもというのだ。
「あまりにも残虐な人なんだよ」
「人をゆっくりいたぶって苦しめ抜いて殺すんだな」
「そうしたことが好きな人でね」
「殺人狂なんだな」
「うん、だからね」
「有能であってもな」
 このことは事実だがとだ、久志は苦い顔で言った。誰もがその血生臭い空気に対して顔を顰めさせている。
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