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レーヴァティン
第百八十三話 自害その一

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               第百八十三話  自害
 久志は兵を進ませていった、兵達は山を登っていき遂に山の頂上にある城を完全に囲んだ、その間だった。
「戦うことは殆どなかったね」
「ああ、山にいる敵軍は自分から降っていったな」
 久志は剛に応えた。
「そうだったからな」
「正直血みどろの戦も覚悟していたけれどね」
「それがなかったな」
「そうだね、有り難いことに」
「源三の策が功を為したな」
「うん、これは自滅だよ」
 剛は素朴だが確かな声で述べた。
「言うならね」
「敵のな」
「劣勢の中で粛清とかしたら」
「潰れるのは当然だな」
「自滅だよ」
 まさにというのだ。
「それは」
「ああ、というか有利な時でもそんなことしたらな」
 粛清、それはだ。
「内輪揉めでもな」
「力を失うね」
「実際それで滅んだ勢力も多いしな」
 人類の歴史においてだ。
「蛸が自分の足食う様なものだな」
「うん、まさにね」
「いい筈がないな」
「そうだね、お陰で僕達はここまで来られたけれど」
「それでもな」
「するものじゃないよ」
「本当にそうだな」
 久志は真剣な顔で剛のその言葉に頷いた、そしてだった。
 兵達に顔を向けてこう告げた。
「今大砲を運ばせてるからな」
「だからですね」
「大砲が届いたらですね」
「それからですね」
「砲撃をはじめてな」
 そうしてというのだ。
「城壁を壊してな」
「術を使える奴と一緒にですね」
「門や城壁を壊して」
「それからですね」
「城の中に入りますね」
「ああ、攻めるぞ」
 こう言ってそうしてだった。
 久志は大砲、空船で運ばせているそれが来るのを待ちそれが来てから攻撃を開始しようとしていた。だが。
 城門が自分から開いた、久志はそれを見て言った。
「まさかと思うがな」
「そのまさかみたいやな」 
 美奈代が応えた。
「もうな、城を守る将兵も家臣もな」
「戦う気がないんだな」
「領主に従ってな」
「そういうことなんだな」
「それやったらな」
「もう城に入ってな」
「城主倒そうか」
「そうするか、城のマップもあるしな」 
 降った者達から貰ったそれがというのだ。
「それじゃあな」
「城の中に入ってな」
「占領していって」
 城の中を徐々にだ。
「中に進んでいこうな」
「ほなな」
「しかし、この城はな」
 城のマップを開いて見てだった、久志は眉を顰めさせて言った。
「からくり屋敷みたいだな」
「忍者のな」
「釣り天井に落とし穴にな」
「横から矢やり槍が出てな」
「そんな罠ばかりでな」
「ほんまそれやな」
「ああ、本当にからくり屋敷みたいだよ」
 そこまで罠が多いというのだ。
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