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レーヴァティン
第百八十二話 民の心その十一

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「どうも」
「あいつソ連に謀略仕掛けたな」
「ソ連で軍の粛清を誘発させました」
 スターリンのそれをだ。
「そしてその結果です」
「ソ連で赤軍への大粛清が起こってな」
「多くの優れた軍人が犠牲になりました」
「トハチェフスキーとかな」
 赤いナポレオンとまで呼ばれていた、ソ連軍きっての名将であった。
「ごっそりスターリンに殺されてな」
「多くの命が失われました」
「スターリンが悪いけれどな」
「ハイドリヒもです」 
 その彼もというのだ。
「責任がありました」
「そうだったな」
「謀略を仕掛けたのですから」
「それでか」
「私は彼が好きではありません」
 ハイドリヒ、彼はというのだ。
「その彼の様なことはです」
「したくなくてか」
「はい」
 だからだというのだ。
「若し魂まで消されるなら」
「仕掛けなかったか」
「そこまで読んでです」
「仕掛けたんだな」
「領主がその命を厳密に実行されなくなるまでです」
「人望を失っているって見てか」
「仕掛けました、確かにまだ熱狂的な忠誠心を持っている人もいますが」
 それでもというのだ。
「それは僅かになっています」
「その証拠に民がか」
「我々が来て恐れるどころかです」
「歓迎していたんだな」
「そのことを見ての策でした」
「成程な」
「ではです」
 源三は久志に自分が策を出した根拠を出してさらに述べた。
「そこからです」
「ああ、降る奴はどんどん受け入れてな」
「そしてです」
「城にまでいってな」
「その城を攻め落とし」
 そしてというのだ。
「このトランシルバニアでの戦いを終わらせましょう」
「そうするか」
 久志は城を見つつ源三の言葉に頷いた、そうしてだった。
 兵にさらに山を登らせていった、城はもう目の前に迫ろうとしていた。


第百八十二話   完


                 2020・10・15
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