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レーヴァティン
第百八十二話 民の心その九
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「粛清を行うかも知れません」
「そうなったら敵の戦力が落ちるな」
「そして殺されるよりはとなって」
「こっちに降る兵も出るか」
「情報を持ってきて、それか領主に反旗を翻して」
「内乱が起こるか」
「はい、どうでしょうか」
「よし、内応仕掛けるか」
 久志は源三の策をよしとして述べた。
「ここは」
「そうしますね」
「下手に攻めるより犠牲も少ないな」
「そして苦労もです」
「しないで済むな、時間はかかるかも知れないが」
 それでもとだ、久志は述べた。山を城を見ながらそのうえでかなり深く考えそのうえで言っているのだ。
「それでもな」
「ずっと楽です」
「じゃあ敵の将兵や家臣に内応を誘うか」
「それでこちらにつく者が出ればいいです」
「情報を持って来てな」
「また城の中で騒動が起こっても」 
 粛清なり内乱がだ。
「それもまたよしです」
「そうだな、じゃあ早速な」
「仕掛けましょう」
 源三は久志に微笑んで応えた、こうしてだった。
 帝国は山そして城の中にいる者達に内応の誘いをわざと領主に聞こえる様にした、するとすぐにだった。 
 密かに帝国軍の陣に来て投降を申し出る者達が出て来た、夕子は久志にその彼等の言うことを話した。
「源三君の考え通りですね」
「ああ、城の中で粛清が起こってるか」
「内応を疑った領主の手によって」
「それで逃げ出す奴が出てるな」
「そうですね、そしてその中には将校や重臣達もいて」 
 それでというのだ。
「その人達が城内や山の地図を持ってきました」
「そうなってるな」
「これは有り難いですね」
「ああ、攻めるにあたってな」
 まさにというのだ。
「地図を使えるな」
「有り難いことです」
「そうだな、しかしな」
「しかしとは」
「いや、猜疑心ってのは厄介なものだな」
 久志は夕子に眉を曇らせて言った。
「信じたら駄目な奴はいてもな」
「人を疑うことはよくないですね」
「それが自分の首を絞めることもあるんだな」
「そうですね、そのことを考えますと」
 実に、とだ。夕子も言った。
「悪いものですね」
「人間疑われたら嫌だしな」
「それだけで」
「それに疑うときりがない」
「そう思いますと」
「猜疑心ってのはどうにもな」
 その曇った顔のまま述べた。
「厄介なものだな」
「少なくとも悪人を信じては駄目ですが」
「誰でも疑うとな」
「よくありません」
「信頼出来る人を疑うとな」
「それこそ自分で自分の首を絞める様なものです」
 夕子は強い声で言った。
「まさに」
「そうだよな、今の領主がそうだな」
「はい、そしてそれによってです」
「今どんどんやばくなっているな」
「そうなっています」
「俺達にとってはいい状況だけ
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