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リリなのinボクらの太陽サーガ
夜闇クライシス
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の部屋で寝ていたことです。どうして私までシャロンさんと一緒の寝床にいるのか、ちょっと昨日の記憶を思い返してみます。

昨日の夜の9時過ぎ、シャロンさん達が作戦を終えて戻ってきました。私達一般人が知る限りでは、どうやら彼女達は敵の重要施設を破壊し、味方も増えて、更に敵の首領にもある程度ダメージを与えたそうです。しかしその際、ここからでも見える巨大な爆発を引き起こしたのでシェルター内はちょっとした騒ぎになりましたが、シオンさんの口から真相を教えてくれたので、避難民はシャロンさん達の凄まじい戦績にどよめいていました。

ですがその一方で、シャロンさんは疲労困憊でした。ケイオスさんに背負われて仮眠しながら帰ってきた彼女は、ほんの少しだけ回復した体力の下、新たな仲間と共に大浴場で体の汚れを落としに行きました。その際、フーカから目を離せなかったので入浴時間を逃した私とミウラさんもご一緒させていただいたのですが……。

ディエチという方があやしていた赤子、ヴィヴィオの姿を目の当たりにした時、私の中に流れる血が凄まじい反応を示してしまったのです。記憶の濁流による自我の喪失……有り体に言えば“暴走”ですね。

そもそも私の中でその傾向は既に始まっていました。アインハルト・ストラトスのものではない過去の記憶……ベルカ戦乱期で覇王と呼ばれたクラウス・イングヴァルトの無念の記憶。その強い無念によって時々、私の自我が浸食されていました。その浸食の度合い次第では私がどこの誰で、子供なのか大人なのか、男なのか女なのか、何もかもわからなくなってしまうほど酷いものでした。

ええ、そうです。あの時、私の身に起きたのは今まであった記憶の浸食の中でも類を見ないものでした。今までは悲惨な映像を繰り返し見せられるものでしたが、今回のそれはまさしく他人が私の身体を乗っ取るべくぶつかって来たような衝撃がありました。魂が抜け出る、という表現が適切かどうかわかりませんが、身体の主導権を奪われかけた私は“アインハルト・ストラトスの魂”を失う所だったのです。

ですが、そうはならなかった。暴走した私の状態にシャロンさんは気づいたようで、月詠幻歌を歌いました。アクーナに伝わる鎮魂歌……あのファーヴニルさえ鎮めたその歌は、クラウスの記憶の浸食に対しても効果を発揮しました。そして私はアインハルトとしての自分を取り戻した所で、意識を失ったのでした。

「そうして倒れた私を看病してくれた、ということですか……」

経緯も思い出せた私は、この恩人とも言える女性の寝顔を見つつ、少し微笑む。こうして思い返したことでようやく気づきましたが、私の中に流れるクラウスの記憶は今も徐々に増えているのに、自我が浸食されるような感覚がありません。これは月詠幻歌によってクラウスの記憶との親和性が高まり、自我が浸
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