第四章
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「だからね」
「そうなのね」
「うん、そうしたお話は」
かなり、というのだ。
「止めておこう」
「高校生どころか中学生でってお話も聞いたけれど」
「そういうのって稀なケースだよ」
「そうだったの」
「大真面目にそう言われても」
篤志は今度は困惑した顔で述べた。
「困るから」
「けれどするならね」
「それならなんだ」
「何時かはするものだし」
高校生でなくてもというのだ。
「勉強しておかないとって思って」
「それでなんだ」
「今してるけれど」
「そうしたことにも真面目なんだ」
「駄目かしら」
「だからそこまで真面目になることはね」
篤志は楓に苦笑して話した、今度はそうした顔になっていた。
「ないよ」
「そうなのね」
「真面目さも程々で時には羽目を外して別に何に対しても全力で真面目でなくても」
それでもというのだ。
「いいからね、世の中」
「そういうものなのね」
「うん、だからセックスのことも」
こちらのこともというのだ。
「別にね」
「勉強しなくていいの」
「早過ぎるし」
それでというのだ。
「普通にね」
「勉強しなくてもいいの」
「そう思うよ。今はね」
そっとだ、篤志は。
楓に手を差し出してそうして彼女に言った。
「手を握っていいかな」
「まずはそこからね」
「それでいいかな」
「それじゃあ」
楓は篤志のその言葉に頷いた、そうしてだった。
その手を握った、二人はそうしてから一緒に帰り道についた。それから楓は少しずつだがあまりもの生真面目さは収まっていった、だが。
ある日楓は篤志にこんなことを言った。
「スパゲティ作るけれどパスタは一から自分で作るのがいいわね」
「手打ち?」
「そうしたいけれど。ミートソースも自分で作って」
「普通にお店でパスタとソース買えばいいよ」
「けれどやっぱり作るならね」
「だからそこまでしなくても充分美味しいいよ。手打ちにパスタ作る機械まで買ってだと手間もお金もかかるから」
それでというのだ。
「止めた方がいいよ」
「その方がいいの」
「普通に買って作っても美味しいし」
市販のパスタにソースをというだ。
「それでいこう」
「それじゃあ」
「うん、やっぱり手間と時間は考えないとね」
楓にこう言って彼女と一緒にパスタとソースを買って作って食べた、まだまだ生真面目に過ぎる楓だが篤志はそんな彼女と楽しい時間を過ごし続けていた。
幾ら何でも無理 完
2020・9・15
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