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レーヴァティン
第百八十二話 民の心その五
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「これはです」
「有り得ないよな」
「中国の戦乱は戸籍が失われてです」
「それで人口が減ったことになるからな」
「実際は然程減っていないですが」
「そんな三百万近く殺すとかな」
「無理です」
 当時の技術レベル軍事のそれではというのだ。
「到底」
「そこまで殺戮に血眼になってると」
「もう他の勢力にです」
「その秦良玉なりにな」
「攻められていました」
「馬鹿げたことしている隙を衝かれてな」
「当時の中国は戦乱の時代でした」
 明代末期もっと言えば明が滅び清が中国大陸の掌握を進めていっている時代だ。まだ明も勢力を残していて群雄達もいたのだ。
「それでそうしたことをしていると」
「すぐに滅ぼされていたな」
「まさに瞬時に」
 やはり隣に梁紅玉がいたことが大きい、この名将が。
「そうなっていました」
「それなりにもってたよな」
「暫く勢力を保っていました」
「そうなるとな」
「どう考えてもそうした出鱈目な殺戮はなかったとです」
「考えるしかないな」
「三百万の人口を数年で一万数千まで減らせるか」
 当時の武器でだ、核兵器どころか爆弾すらない時代だ。
「到底です」
「無理だよな」
「そして無茶苦茶な殺戮をする主なぞ」
「普通に殺される前にってなってな」
「逆にとなることがです」
「必然だな、けれど部下に殺されないでな」
 何時殺されるかわからずかつ寝首を掻ける立場にいる者達にだ。
「最後まで一緒にいる部下もいたんだよな」
「それも結構な数が」
「それだとな」
「そうした異常な話はです」
「殆どなかったな」
「そうだったとです」
「思えるな」
「その話を鵜呑みに出来るとしたら」
 源三はどうかという顔で述べた。
「おかしいです」
「そっちの方がな」
「まさに」
「そうだよな」
「異常な話を異常とわからない」
「それはもう駄目だな」
「はい、人として」
 まさにというのだ。
「どうかしています」
「そうなるよな」
「あの領主も民にはかなり離れられていますが」
「まだ側近とかいるか」
「ある程度、弁えています」
 その残虐な振る舞いもというのだ。
「少なくとも理由なく残虐な処刑は行っていません」
「だからまだついてきている奴がいるんだな」
「少なくとも領地のことを思いその為に動いているので」
「それは事実だからか」
「ついてきている者がいます」
「言われている様な張献忠じゃ絶対に有り得ないけれどな」
 人の足首を切って集めていてもう一ついいものが欲しいと思っていて妾のそれを自分で切っただの自分の家族を殺してそれを止めなかったのかと怒って家臣達も殺す様な者に誰がついていくかというのだ。
「それでもな」
「あの領主はです」
「そこまでじゃなく
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