第二章
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「人間の」
「ええ、そうだったわね」
「けれど自分の娘をですよ」
「ふわりちゃんをね」
「自分の人間の子供が生まれたら」
「臨月になったらね」
「もうほったらかしにしはじめて」
洋介はその時のことから話した。
「それで祈里ちゃんが生まれたら」
「お迎えに来てワンワン鳴いただけで怒って」
「そこからずっとゲージに入れて散歩もブラッシングしないで」
「挙句はずっと鳴いていて五月蠅いから保健所ね」
「保健所で里親が見付からないと」
どうなるかもだ、洋介は言った。
「殺処分ですよ」
「そうなってもいいから保健所に送ったのよね」
「自分の娘を」
「本当に酷いわね」
「それで親父があの連中がふわりを保健所に送ったって聞いたらすぐに怒って」
そうしてだったというのだ。
「うちで引き取ったんですよ」
「それでお兄ちゃんと義姉さんの子供になったわね」
「俺の妹になりました」
「そうよね」
「何日も薄暗くて冷たい部屋にいて寂しくて悲しそうにしていたらしいです」
これは洋介の父が保健所の人から聞いたことだ。
「最初はずっと鳴いていて」
「あの人達を呼んでいたのね」
「そうだったんでしょうね」
「というかワンちゃんをずっとゲージに入れてお散歩に連れて行かなくてブラッシングもしないと」
「ストレス溜まりますよ」
「そうなって当然ね」
「その時点で駄目でふわりって家族を呼んだり何かないと鳴かないですから」
そうした娘だというのだ。
「大体トイプードルってよく鳴きますよ」
「しかも可愛がっていたのに急に邪険にして」
「碌でもない連中です」
「そして祈里ちゃんもね」
「そりゃそんな話聞いたら誰も怒りますから」
洋介の父も激怒した。
「そして二人の親戚全員からです」
「縁切られて」
「祈里ちゃんだけじゃなくて」
「里菜ちゃんの親権もね」
「放棄させられたんですよ」
「そうよね」
「叔父さんが言うには他にも色々やらかしてたんで」
それでというのだ。
「二人共禁治産者になったらしくて」
「ああ、あれね」
「それで、です」
「親権放棄させられたのね」
「平気で育児放棄するんですから」
そうした連中だからだというのだ。
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