耳鼻科
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ごうとも、両手が動かず、鼓膜に伝わる音に、ハルトは恐怖を感じた。そして、脳髄に響く音。体内より伝わる音が、ハルトの全身を縛り上げる。
「いただきます」
右耳からのゾウムシの声。同時に、左耳から内臓が吸い出される感覚が襲う。
「っあああああああああああ!」
止めどない恐怖に、ハルトは叫ぶ。
「やめろ、やめろおおおおお!」
ハルトの言葉など、怪物へ届くはずもない。無常にもそれは、ハルトの鼓膜を突き破り、脳への不可侵領域を入っていく。
だが、それは一瞬だった。突如として、ハルトの内部へ侵略していた管が引きはがされ、ゾウムシの元へ戻っていく。
「な、何!?」
ゾウムシは、まるで鼻が火事になったかのようにはたいている。
「どうしました?」
「分かりません! 急に……」
象がゾウムシを抑えている。怪物同士の掛け合いにより、ハルトを拘束する鼻の力が緩む。
「い、今だ! 変身!」
ハルトは、最低限の動きでルビーの指輪を使用。魔法陣により、火のウィザードとなる。即座にコネクトからソードガンを取り出し、象の鼻を断ち切る。
「ぐおおおっ……!」
怯んだ象に連続蹴りを見舞い、その体を耳鼻科の受付まで蹴り飛ばす。続いて不意打ちを狙ったゾウムシを受け流し、三度その体を切り刻む。
「はっ!」
さらに、足技により、ゾウムシの体もまた受付まで投げ出される。
二体の怪物を受付まで離したことを確認し、ウィザードは被害者女性のもとによる。
女性の体組織が漏れる管を引きちぎるが、びくびくとわずかに動きを残す彼女が、もう手遅れだということは明確だった。
「あ……あ…………あ………………」
女性の痙攣の間隔は、徐々に短くなっていく。やがてビクビクと動く体は、その動きを止めていった。
「……」
ウィザードは、光を失った目をじっと見降ろし、ゆっくりとその瞼に手を触れる。驚きと恐怖に満ちた表情に変わりはないだろうが、安らかな眠りが追加された。
「悪いがまだ食事中だ……邪魔はしないでもらおう」
その声に振り替えると、象とゾウムシの怪物がこちらをにらんでいた。
「お前たち……一体何なんだ?」
ウィザードはソードガンを構えながら問う。しばらく二体は黙っており、
「お先に失礼します」
ウィザードへ、まずゾウムシの怪物が突撃してくる。ウィザードはそれを受け流し、その背中を切り伏せる。
「だぁっ!」
追撃。二度の赤い斬撃が、ゾウムシを地へ落とす。
刹那、前方からの気配。振り向くと、そこには象の顔。
「潰えろ!」
ウィザードのルビーの体が、強い圧力で壁まで飛ばされ
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