こんな接客あるのか!?
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「あ、チー君。いや、その……」
「ああ! 分かった!」
チー君はポンと手を叩く。
「下の人たちの使いっぱしりだ!」
「そんな言葉どこで覚えた?」
「じゃあパシリだ!」
「いやそれ同じ意味だからな? っていうか、語源だからな!」
十歳以上も年下の子供に突っ込みを入れた後、ハルトは咳払いする。
「まあ、ちょっとテレビでこの病院のことをやってたから、ちょっと心配で来たんだよ。皆出かけてるの?」
「別のところでお勉強。ぼくは忘れ物しただけ」
チー君はそう言って、居住フロアに入る。数分もたたないうちに戻ってきた彼の手には、『みんなの音楽』という教科書が握られていた。
「社長は心配だけど、ぼくたちは大丈夫だよ」
「社長? ……院長ね」
「そうとも言うそうとも言う」
チー君は野太い声で頷いた。
「あ、本当はお姉ちゃんに会いに来たとか?」
「違う」
ハルトはきっぱりと言い切った。だが、何がチー君の琴線に触れたのか、チー君はにやにやと笑んだ。
「ほうほう。なるほどなるほど。そういうじゅないるなものもアリですな〜」
「どこでジュナイルなんて言葉覚えたんだか」
だがチー君は、そんなハルトの言葉など聞こえないように振る舞う。
「んじゃ。またね! あ、今度ぼくのマジックも見れば〜?」
「お、おう。……その言い方なんなんだ?」
嵐を呼ぶ五歳児のような言い方のチー君を見送って、ハルトはフロアの窓から病院のロビーを見下ろす。
相変わらずマスコミたちが、フラダリへの説明を求めているが、ほとんど彼らに動きはない。
「……帰るか」
本当に何しに来たんだろう、とハルトは思ってしまった。
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