こんな接客あるのか!?
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ことで約束を取り付けてもらった。
「人喰いの怪物が出てきて、今も行方不明、と」
簡単に記事になりそうな文章を書き、それを読み直した真司は思った。
「黄金のザリガニの方がまだ信じられるな」
「え?」
「モンスターもいないこの世界に、そんなのいないだろ? ……いないでくれよ」
真司は神頼みのように合掌する。友奈は、
「とにかく、病院に行ってみようよ! 何か記事になることだってあるかもしれないよ!」
彼女の元気さを少し分けてほしい。そう願いながら、真司は頷いた。
「そうだな……そうだな!」
二度同じことを繰り返した真司は、そこで大切なことに気づく。
「……病院って……どこ?」
「あ」
「それに、俺今スクーターない……」
その後、見滝原の街に、龍が現れた都市伝説ができたとかできないとか。
『調査中です』
そんな声に、ハルトは設置してあるテレビに目を向けた。
ラビットハウスの天井付近に設置された、年代物のテレビ。地デジすらなさそうなテレビには、その画面の多くを占める人物が出ていた。
『それでは、今後の対策は?』
『検討中です』
問題に対し、よく言われる常套句。赤い太陽を連想させる人物が、記者たちの取材をよけるように歩いていた。
「……あの人……」
「フラダリ・カロスさんですね」
そう言うのは、テーブル席の客だった。白紙の原稿用紙に向き合う、若い女性。彼女はコーヒーを一口含み、ハルトに尋ねる。
「ご存じですか?」
「この前病院に行ったときに会いましたね。青山さんは?」
現在のラビットハウス唯一の客。謎多き、青山ブルーマウンテンさんなる小説家は、「そうですね」と前置き、
「以前、私は彼の病院へ取材でお伺いしたことがありまして、その縁ですね」
「取材に行ったんだ……」
その時、クトリは何歳くらいの時なのかな、とハルトが思う一方、青山さんは続ける。
「色々医療現場のことを学べて、大変貴重な体験でした。……しかし」
青山さんは首をかしげる。ハルトが「しかし?」と先を促すと。
「フラダリさん、とても意味深なことを口にしていたんです」
「意味深?」
青山さんはまたコーヒーを飲む。皿洗いをしている可奈美の水音以外の無音は、静かすぎて不安さえ感じさせる。
「『小説家とは、他の作者を蹴落としていくものなのだろう? 一度売れれば、また売れようとして、その地位を独占する。また売れなくなれば戻りたくなる』そう言っていましたね」
「何ですかそれ。競争社会全批判ですね」
「フラダリさん自身、医者になるまではさまざまな慈善活動に身を置いてきたらしいので、紛争地帯などでの経験
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