こんな接客あるのか!?
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城戸真司は記者である。
というのは、サーヴァントとして召喚される前の話。
今の真司は、ただのフリーターである。普段は大型飲食チェーン店に勤めているが、休日であるこの日は、このようにメモとペンを携えて町を散策している。
「おお……」
真司は、見滝原の中央街を、珍しいものを見る目で散策していた。
アパートから少し離れたこのエリア。最新技術がふんだんに盛り込まれただけあって、二十一世紀初頭までの記憶しかない真司にとっては真新しいものであふれていた。
「真司さん、すっごく楽しそう!」
隣の友奈が、にっこりと笑いながら追随している。この世界に呼ばれたはいいものの、学校に入ろうにもアテもなく、ただただ真司に付いてきていた。
「でも、本当この街て色々あるよね。あ、あそこのうどん屋行きたい!」
「今度にしてくれ! あそここの前行ったじゃん! 今日は、街の散策を兼ねているんだから、新しいところ!」
「新しいところってどこ?」
友奈の無邪気な質問でも、答えを用意していない真司は返答に詰まる。
むむむと考えて、「あそこだっ!」と近くの店を指さす。
そこは。
現代では知らぬ人のいないメイド喫茶。
そんな名称は、友奈は何とか思いついても、真司には向こうの世界の話だった。
真司のいた時代では、まだメイド喫茶はその頭角を現したばかりで、その存在も真司の知るところではなかった。
「何やら不安を感じる視線ですね、姉様」
「そうね、不安を感じる視線ね、レム」
店の前___客引きにあたる、二人のメイド。髪の色と、左右の目がのぞく髪の切れ目以外ほとんど同じ姿の、おそらく双子。ついうっかり、じっと見つめていたことに気づいた真司は、慌てて「あわわ、ごめん!」と謝った。
「なんか、初めて見たから……そういう格好……」
「まあ、失礼な発言。メイドをご存じない世間知らずの発言です。聞きました姉様」
「失礼な発言ね。メイドどころか金も持っていないバカの発言ね。聞いたわよレム」
「なんかすっごい罵倒されてんだけど!」
接客応対どうなってんだ、と思いながら、真司はコホンと咳払いをする。
(俺は大人俺は大人俺は大人俺は大人……よし!)
「あの……」
「あの! 私も、こういうお店初めて見ました! どういうお店なんですか?」
真司の言葉を遮って、友奈が割り言った。それにより、真司は口を噤むほかなかった。
「まあ、初めてを装って私たちと会話しようとしています。どうしましょう姉様」
「落ち着きなさいレム。こちらの女性には他意はないわ。こちらの男性が危険よ」
相変わらず、この二人は互いに問答している。
ピンクの子が姉で、青い子が妹でレム。その情報を頭に叩
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