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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第267話「神界を穿つ」
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悩んでいるのか、一度明らかにした方が目の前の事に集中できるわよ。司、貴女は何に悩んでいるの?』

「(私が、悩んでいる事……)」

 人を止める事……否。
 今は敵として戦っている“天使”になる事……否。
 優輝との関係の変化……否。
 それらの、どれもが違う。
 無関係とまではいかないが、肝心な部分そのものではないと、心が断じる。

「(……そうだ。優輝君と、一緒にいられるか……)」

 人を止める事も、優輝との関係の変化も、それに帰結する。
 前世と違い、女性になってから司は優輝を異性として好きになった。
 だからこそ、一緒にいたいと、そう心から思っていた。
 だが、これからの未来、ずっと一緒にいられるのかと、疑問に思ったのだ。

「(人を止める事も、そんなのおまけでしかなかった)」

 転生や神界での戦いを経験したからこそ、肉体だけが全てではないと理解している。
 その上で、ずっと大好きな優輝と共にいられるのかと、不安になったのだ。
 そこに、人を止めるかどうかなど、関係なかった。
 単に、未来も自分は彼の傍にいられるのかと、漠然とした不安に駆られただけだ。

「(……悩む必要なんてなかったんだ。そんなの、私の“意志”次第なんだから)」

 優輝が好きだからこその不安だった。
 彼が好きだから、こうして悩んでいたのだ。
 司が乗り越えたとはいえ、まだ心の弱い部分があっただけなのだ。
 ……だから、後はそれを克服すればいいだけの話。

『……いい表情になったわね。もう、心配はいらないかしら?』

「『うん。ありがとう優奈ちゃん。気づかせてくれて』」

『さぁ、どうかしら?気づけたのは貴女自身の力よ』

 念話でおどけて見せる優奈だが、司は確信していた。
 わざと、自分がこの心に気づけるように誘導していたのだと。

「……よし」

 “祈り”の制御はそのままに、司は気合を入れ直す。
 同時に、司自身の“祈り”が棘となって周囲の“天使”を貫く。

「天巫女は、祈りを現実にする。……その感情が、正であろうと、負であろうと。だから、自分の感情がコントロールできるなら……!」

 司の制御する“祈り”が厄介なのだろう。
 捨て身で司を倒そうと、“天使”達が突貫してきた。

「ッ!?なっ……!?」

「私への妨害を、拒絶するッ!!」

 その“天使”達を、障壁で完全に阻む。
 単なる祈りの障壁ではなく、拒絶の“意志”を込めた障壁だ。
 負の感情をを利用したその障壁は、攻撃を受け止めるのではなく、弾いた。

「ふっ!」

 さらに、その障壁が攻撃へと転じる。
 まさに圧殺と言わんばかりに、障壁は“天使”を押し出し、潰した。

「無駄だよ」


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