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イヌカレたのはホノオのネッコ
第弐話「環の気持ち」
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「はぁ……」

第1特殊消防隊庁舎、シャワールーム。
現場から戻ってきたタマキの溜息に、黒髪ロングとショートボブ、二人のシスターが反応する。

「どったの環ちゃん?現場で何かあった?」
「どうせ例の彼でしょう。聞くだけ無駄ですよ」
「ちょっとヒータ、それどういう意味よ!?」
「その反応、さては図星だな〜?」

慈温 須藤(シオン ストウ)とヒータ・スミス。
この第一に所属する消防官であり、同時にシスターだ。

黒髪ロングの先輩、シオンはタマキ達と1つ上。
ショートボブの同僚、ヒータは同い歳。
3人は入隊以来、仕事の合間によく喋っている仲である。

「もしかして、またラッキースケベられたとか?」
「そうなんですよ……。せっかく謝れたのに、その傍から……まったく……」
「まったく……もはやここまで来ると運命なのでは?」
「こんな運命あってたまるかーッ!!」

タマキの叫びに、シオンは苦笑する。

確かに、ここまで何度も……というのは只事には思えない。
ヒータはともかく、シオンには2人の姿がそういう風に映っていた。

「それで結局、環ちゃんは狛司くんの事をどう思ってるの?」
「ど、どうって……何が?」
「一部で噂になってますよ〜。環さんと狛司くん、実は好き合ってるんじゃないか〜って」
「はぁ!?そっ、そんなわけないじゃん!?」

ヒータの言葉を慌てて否定するタマキ。
両手をバタバタと振るその姿に、シオンはニヤリと笑った。

「え〜、そうなの〜?」
「そうですよ!第一、誰があんな真性ド変態野郎なんかと……」
「じゃあ、興梠くんの事、嫌いなんだ」

その瞬間、タマキの様子が変わった。

「べっ、別に嫌いとは一言も……」
「でも狛司くんの事、好きじゃないんでしょ?」
「それとこれとは話が別です!」
「じゃあ、環ちゃんはどう思ってるの?」
「そ、それは……」

物の見事にシオンに翻弄されるタマキ。
その時、半ば呆れながら髪を洗っていたヒータの脳裏に電流が走った。

ヒータはシオンに視線を送りながら、煽るように呟く。

「環さん本人がそう言うなら、そうなんじゃないですか〜。可愛い顔してますけど、本当は環さんのラッキースケベられを利用して不幸な事故を装ってる痴漢常習犯かもしれませんね」

ヒータの意図を察したシオンは、即座に更なる餌を撒く。

「うわっ、何それ最低じゃん」
「人は見かけによらないって言いますもんね〜」
「ひょっとしたら他にも犠牲者が……」
「そんな事ないッ!!」

タマキの声がシャワールームに反響する。
2人はしめたと言わんばかりに、タマキの方を見る。

「興梠はそんなやつじゃありません!律儀だし、真面目だし、転んだ時はいつも気にかけ
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