17,撫子VS
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を伏せながら声を絞り出す。
私と言えば、なんて声をかけていいのかも分からず、右手を持ち上げて、そして降ろした。
きっとそれは、特別なことなんかじゃない。誰もがやったしょうがないことなんです。そう言うことも、励ますことも簡単だ。
だけど、それじゃあキリトさんにとっては何の解決にもならないのだろう。
「……わかりました。ご協力します」
結局、私はそういうことしかできなかった。
「どうして、駄目なんですか!!?」
「だから、そこは譲れないって言ってるンダ。オイラとヤー嬢、クー助とキー坊の試合は絶対にやるんだヨ」
不毛な争いが終わることなく続く。
私は思わず、自分の髪を掻き揚げた。黒髪はゆったりと宙を舞い、肩に舞い戻る。
試合相手を選びたい。たったそれだけのことで、私とアルゴさんはもう何度目かわからない堂々巡りを続けていた。
拘りの無さそうなアルゴさんだから、絶対に大丈夫だと思ったのに。
後ろでは居心地悪そうにキリトさんが立っている。
「……どうしてヤー嬢はそんなに相手に拘るんダ?」
「時間もありませんし、私はキリトさんとじっくりと戦ってみたいだけです。時間制限は御免です」
「本当に、それだけカ?」
アルゴさんのふてぶてしい態度がより一段と強まった。
「どういう意味ですか?」
「いや、ヤー嬢はオイラに負けたらプライドがズタボロだもんナ。そりゃ、しょうがないカ」
「安い挑発ですね。私がそれに乗るとでも?」
努めて平静を保とうとするが、アルゴさんはこちらを無視し、キー坊のほうを見ながら言った。
「キー坊なら、問題ないナ。強い男に負けたんなら、前みたく走って逃げても大丈夫だしナ」
プチン、と何かが音を立てて切れた。
同時に私の愛刀はアルゴさんの首筋にぴったりと寄せられている。
アルゴさんは余裕の表情を崩さず、メニューから決闘の画面をクリックした。
「……交渉成立、って事でイイんだナ?」
「あなたのそういう所が気に食わないんだ。私は」
素早くメニューを操作して、<初撃決着モード>で受諾する。
カウントが始まり、私たちは互いに距離を取った。
「おい、ヤヨイさん……」
「大丈夫です。私が一撃も貰わないで、キリトさんとも連戦すればいい話ですから」
キリトさんには申し訳ないが、もう私とて止まる気はなかった。
カウントが零になった瞬間、私は敵を倒すべく突進し、切り落とさんとばかりに愛刀を振るう。
「ぉっと」
アルゴさんはそれをしゃがみ込むようにして躱した。同時に地面を蹴って私の死角へと入りこもうとする。
瞬時に体を回転させながらソードスキルの構えに入る。
――カタナスキル範囲攻撃<飛沫>
私自身の剣速も重なって刃が私の周囲を取り
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