第1部
ポルトガ〜バハラタ
ポルトガの関所にて
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むや否や、冷たい夜風が肌にしみる。こんなところにいつまでもいる場合じゃなかったのだ。
「そうだな、バカザルの言うとおりだ」
「……同意してくれんのはいいんだけど、いい加減その『バカザル』呼ばわりするのやめてくんねえ?」
疲れた表情を見せるユウリに対し、不満げなナギが声をあげる。
ゲームがきっかけで少しは二人が仲良くなるかと思ったが、世の中そう簡単にはいかないようだ。
まあそれは、私の胸の中だけにしまっておくとして、様子を窺いつつ再び関所に戻ってきた私たち。
昼間はそこに立っていたはずの兵士は、夜になり見張る必要がなくなったのか、もうそこにはいなかった。
扉に近づくと、ユウリは懐から何かを取り出した。暗くてよく見えないが、それを持ったまま扉の前まできて立ち止まった。
よくみてみると、扉の取っ手の下の方に、鍵穴が見える。そしてその鍵穴に、何かを差し込んだ。
そっか、魔法の鍵か!
鍵を回すと、カチャリと小気味良い音が鳴り響いた。
「やっぱりこの扉は、ピラミッドにあったものと同じタイプみたいだな」
そう言いながら、微かにほくそ笑むユウリ。ということは、最初から魔法の鍵で開けるつもりだったようだ。
「ねえユウリ、どうしてこれが魔法の鍵で開けられるってわかったの?」
「確証はないが、この扉が攻撃呪文に耐えられると聞いて、あの変態ジジイがいってたことを思い出してな」
「えーと、ヴェスパーさんのこと?」
「ああ。魔法の扉は、ピラミッドの宝を狙う盗賊や魔法使いの侵入を防ぐために作ったと言ってたからな。おそらくピラミッドの扉も呪文に耐えられるほどの代物だ。ならこの関所の扉も似たようなものだと思ったんだ」
「そっか、じゃあ呪文にも耐えられる扉なら、魔法の鍵があればどの扉でも開けられるってことだね」
まさかこんなところで魔法の鍵が役に立つとは。
とにかく、これでポルトガに行くことができるんだ。
「夜なら見張りもいないと思って来たが、まさか本当に誰もいないとはな。あきれてものが言えん」
「よっぽどこの扉を信用してるんだね」
そうしみじみ言うのもつかの間、辺りは暗いとはいえ、ここにいつまでも立っていたら怪しまれるかもしれない。私たちは早々に関所を通ることにした。
だが、ポルトガ領に入って間もない場所に、小さな建物が見えてきた。幸い明かりはついていないが、誰かいるのだろうか?
「何か怪しい建物があるな。調べてみるか?」
同じく建物に気づいたナギがユウリに尋ねる。
「ポルトガの兵がいるかもしれない。見つからないように出来るのかバカザル?」
「だからそのバカザルっての……、まあいいや。『鷹の目』ならここから様子を見ることが出来るはずだ
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