第1部
ポルトガ〜バハラタ
ポルトガの関所にて
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、抵抗するほどのことでもないのか、吐き捨てるように言った。
「肉って、肉料理? それともヤギの肉とか鶏肉?」
私はつい好奇心が勝り、ユウリに質問攻めをした。
「……なんでそんなに追求してくる」
「いや、だって情報が少ないから……。せっかくの機会だもん、もっとユウリのこと知りたいし」
「……これ以上お前に教えることなんてない」
そう言うと、彼は顔を背けてしまった。これ以上言うと機嫌を損ねそうなので、私は聞くのをやめた。
「はい、じゃあ命令終わりだね☆ もっかいやろっか♪」
「うん! なんかこういうの、楽しいね」
「でしょ? あたしもはじめてアッサラーム来たときにやって、すっごく楽しかったんだ☆ こーやって皆とやれてあたしも嬉しいよ☆」
そういうシーラの表情は、本当に楽しそうだ。私も普段とは違う皆の一面が見れて、すごく新鮮だし、なにより嬉しい。
このあとも何度かやってみた。シーラが王様の時は、『一番が三番の人を褒める』と命令し、ユウリがナギを誉めるという奇跡の瞬間が誕生した。
といっても内容としては、『バカザルのいいところは自分がバカなことに気づかないこと』とか、『ベギラマからの回復力が異様に早い』等という、褒めてんのかどうなのかわからないのがほとんどだったけれど。
ナギが王様の時は、『二番が王様の肩を揉む』と言って結局私がやったんだけど、ナギ的にはユウリにやってもらいたかったらしい。
で、何回かやって結局一度も王様になれなかったのはユウリだけだった。最後の方は何か細工でもしてるんじゃないかと、彼は何度も紙を確認していたが、そんなはずもなく、終始不機嫌だった。
そうして、皆のやり取りを眺めて笑っているうちに日が暮れ始め、辺りはすっかり暗くなった。
「そろそろ行くか」
「え? どこに?」
尋ねてから、私はハッと手を口に当てる。気づいたときにはもう遅い。ユウリは手を伸ばし、私の両頬を無言で引っ張った。
「ひはいひはい!」
「このボケ女は、一回刺激を与えないと思い出さないらしいな」
「いいなあ、ミオちんばっかりユウリちゃんにおしおきされて」
ユウリは私の頬を離すと、今度はシーラの両耳を引っ張った。
「誤解を招くようなことを言うな!」
「わーい、ユウリちゃんからのおしおきだぁ♪」
まったく効いていないどころか、とんでもない発言をしたシーラにこれ以上やっても無駄だと悟ったのか、すぐに手を離すユウリ。それをナギが呆れた顔で眺めていた。
「遊んでねーで、早く関所にいこうぜ。いい加減寒いんだよ」
そうだった。 イシスではわからなかったが、もう季節は冬を迎えていた。日が沈
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