第1部
ポルトガ〜バハラタ
ポルトガの関所にて
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めても面倒なことになるだけだし」
私はナギにそっと耳打ちをした。それが耳に届いていたのか、
「間抜けなお前にしては賢明な判断だな」
と皮肉ったような表情でユウリが振り向いた。
ともあれ、一先ず私たちはこの場を離れた。一度ロマリアに戻っても良かったのだが、またここまで歩くのも面倒だし、なにより一度ロマリアで王様になったユウリにとっては、居づらい場所でもある。……まあ、自業自得だけど。
なので、町には戻らず近くの木陰で様子を見つつ、夜になるのを待つことにしたのだった。
その後、私たちは兵士の目の届かないところまで離れ、身を隠すことにした。日が沈むまであと二、三時間はある。それまでこの何もない草原で何をしたらいいだろう。
とりあえず、近くにちょうどいい木陰があったので、皆そこで車座になって座り込んだ。
ちなみに周辺の魔物は、ユウリが『トヘロス』という呪文で近づけないようにしているので襲ってくる心配はない。
私は側にある木に寄りかかり、空を仰ぎ見た。時折吹く穏やかな風が、私の髪をくすぐっていく。
まるでピクニックに来ているようで、私はそんな状況でないにも関わらず、安らぎを感じていた。
対してユウリは自分の剣を磨き続け、ナギは罠の解除に必要な道具のメンテナンスをしている。
シーラは一人でお手玉をしていたが、ぼーっとしている私と目が合うと、にっこり笑いかけた。
「ミオちん、いっしょにやる?」
「あ、ごめん、そういうつもりで見てた訳じゃなくて、たまにはこうやって皆でのんびり過ごすのもいいなって思ってさ」
「お気楽な奴だな。こういう時こそ鍛錬でもしたらどうだ?」
すげなくそういわれ、閉口する私。
それを見かねたのか、お手玉をやめたシーラがすっくと立ち上がった。
「よっし! こんなときこそ遊び人のあたしの出番だよねっ♪」
「いや、全然意味がわからねえ」
顔をあげたナギが真面目な顔でツッコミを入れるが、シーラは気にせず話を続ける。
「こういうときは、遊ぶのが一番! だよ☆ というわけで、これから皆で王様ゲームを始めまーす!!」
「王様ゲーム? 何だそれは」
作業を中断したユウリが急に口を挟んできた。『王様』という言葉に反応したのだろうか。
「ふっふっふ。さすがユウリちゃん、ノリがいいのはわかるけど、まず準備させてね。ミオちん、紙と書くものちょうだい?」
「あ、うん。ちょっと待ってね」
私は鞄からロズさんから貰った紙と木炭を出し、シーラに渡す。彼女はそれを小さく千切り、何かを書いたあと、さらに小さく折り畳んで皆の前に並べた。
「ここにある四枚の紙の中
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