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レーヴァティン
第百八十話 トランシルバニアへその五

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「やっていくべきだな」
「出来るだけね」
「それも政だ、それでだが」 
 正も言ってきた。
「今から何を飲む」
「ああ、お茶かコーヒーか」
「どちらを飲む」
「お茶だな」
 久志は正に笑って答えた。
「紅茶な」
「そちらか」
「それを飲むな」
「砂糖は入れるか」
「いや、そっちはいいさ」
「砂糖はか」
「ああ、別にな」
 これはというのだ。
「いいさ」
「そうか」
「そのまま飲むな、というかな」
「何だ」
「いや、この浮島砂糖はてんさいで作るな」
 つまりサトウダイコンでというのだ。
「そうしてるな」
「気候の関係だ」
「寒冷地が多いからだな」
「だからだ」
「砂糖はてんさいから作るんだな」
「サトウキビが植えられないとなるとだ」
 それで砂糖を作るとなると、というのだ。
「どうしてもだ」
「てんさいになるな」
「そうだ、東ではあるがな」
 東の浮島にはというのだ。
「てんさいもあるが」
「琉球の方でサトウキビを植えられるからな」
「あちらで大々的に作っている」
「そうだよな」
「それで琉球は利益を得ている」
 そこにいる百姓達がというのだ。
「そうしている」
「そうだな」
「起きた世界では薩摩藩が相当なことをしていたが」
 奄美大島の百姓達に無理に作らせてそうして日本全土に売っていたのだ、当然そこにいる百姓達は途端の苦しみを味わった。
「だがこちらの世界ではな」
「それはないな」
「幕府が作らせて買い入れてな」
 そうしてというのだ。
「百姓達に還元してだ」
「利益をもらたしているんだな」
「そうなっている」
 百姓達もというのだ。
「それでかなり助かっている」
「そうしているんだな」
「薩摩藩は貧しかった」 
 薩摩戸大隅で四十万石もなかったが七十七万石とされた、しかも禄を育む武士が多かったのだ。それも五万もいた。
「だからな」
「砂糖を無理して作らせていたんだな」
「そうしていた」
「農奴みたいなか」
「そうさせていた」
「日本にもそうした人達がいたんだな」
 久志は正の話に考える顔になって述べた。
「所謂被差別階級の人はいてもな」
「奴隷はいなかったな」
「少なくとも江戸時代からそうだったな」
「確かに制度として奴隷はおらずな」
「滅茶苦茶な重税もあるにはあってもな」
「悪政は藩の取り潰しの対象だった」
「そうだよな」
「しかしそうした酷使される人達はいた」
 このことは事実だったというのだ。
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