暁 〜小説投稿サイト〜
同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
アスカリの持ちたる国〜ヴァンフリート民主共和国〜(上)
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
リウス準州に作り上げた小惑星を利用した鉱工業プラントの群です。
 そして僭主ルドルフが独裁体制を築き、国内の反対派への粛清を始め、元帥に上ったナイナーニェン提督もその地位が危ぶまれておりました。追い詰められた彼は軍本部に欺瞞情報を撒き、ヴァンフリートへ逃れ、銀河連邦臨時政府を設立し、反攻の機をうかがっておりましたが、一部幕僚の造反により旗艦ごと謀殺され非業の死を遂げました。
元帥の遺志を継ぐ為にこの複数の基地の中で暮らしてきた我々の祖先達は同志達の中で最も階級が高いルーヴェルチュール大尉と共に革命を起こしました。
大尉はナイナーニェン元帥閣下の下で勤務した最高位の指揮官として元帥杖と銀河連邦臨時政府主席の座を継承、そしてこの国はヴァンフリート民主共和国として再生したのです!」

「なるほど?」「”そういう事”になっているという事だ、ウランフ君」
 ウランフとグリーンヒルは苦笑いをするが若手の間では妙に感心しているような者達も居る。
 一方でこの地域の出身者やヴァンフリート民主共和国に関わった事のある者達は両将軍達と同じように笑いをかみ殺していた。彼らも、そしてヴァンフリート国民の大半も知っている、
ナイナーニェンは銀河連邦軍末期の悪癖を混ぜて凝固されたような輩であったこと、そしてヴァンフリート国民の先祖は貧しい貧困層の中でも遺伝的に強靭な体を持った黒人達で編成された【アスカリ】であることも。
 ――そして搾取に耐えかねた彼らがルドルフの追及から逃れた軍閥将校団を抹殺してヴァンフリート民主共和国を作り上げたことも。
「ヴァンフリート民主共和国を見た事のない方々には驚きでしょうが、我々は小惑星を利用し幾つかの居住用拠点を中心とした土地で生活を営んでおります。
皆様には首都ステーションである『ネルソン・マンデラ』へご招待いたしましょう――」
 ブリッジから見えたのがヴァンフリート国の中枢である。直径100km程の巨大な小惑星を中枢に幾つかの小惑星を連結させたものだ。
 第10艦隊旗艦たる盤古と直卒艦隊約1,000隻を迎え入れるには十分な大きさであった。



 【マンデラ】は政治的な中枢であるのと同時に工廠としての機能も持っている。
とはいえ、基本的には防衛艦隊(同盟軍の払い下げ艦であり大部分は星系間航行機能をオミットされている)の整備と解体にしか使われないが。
 そして専ら解体に使われるのだ――同盟軍と帝国の戦闘が起きた後は一大事業の始まりであるその名も――

「――戦場清掃、か」
 ウランフ中将は暗い目で解体に使われているドックを眺めている。
 到着した彼らの目的はアスターテ会戦の事後処理に関する儀礼に参加する事だ。
 その儀礼の一環がこのドックの視察である。実際は若手将校達の引率のようなものである。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ