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宇宙戦艦ヤマト2199〜From Strike Witches〜
出航編
第6話 氷漬く鋼鉄の屍
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は揃って笑みを浮かべる。そして隣に立っていた副長が帽子を被り直しながら言った。
「さぁて、奴らの尻に一発、蹴りを入れに行くとしますか」
「よし…全砲門、ミサイル発射管開け」
守がそう指示を出した直後、不意に通信長が口ずさみ始めた。
「―『銀河水平、波間を超えて、目指す恒星ケンタウリ…』」
それは、宇宙軍や士官学校でも歌われていた『銀河航路』だった。「雪風」乗組員の歌声が流れ、同時に古代の目に、あの時この艦橋にいたであろう乗組員達の幻が浮かび上がる。
その歌声は再接続が行われた通信回線によって、「霧島」を始めとする地球艦艇にも流れ、中には涙を浮かべる者も出てくる。
「馬鹿野郎…死ぬなよ、古代」
単艦でガミラスの大軍に向けて突撃した「雪風」から流れてくる通信に、沖田は小声で呟く。通信は次第に出力が低下して途絶え、歌声も雑音へと変わって行く。
やがて轟音が聞こえたと同時にレコーダーに記録されていた全ての音声記録の再生が終わり、古代はただその場に立ち尽くす。
直後、真上を一つの黒い影が覆う。真上を見上げると、そこには、「大和」の艦底部が広がっていた。
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「大和」艦橋
「救難信号は、第一艦隊所属駆逐艦「雪風」のものと判明。同艦に生存者はありませんでした」
「…そうか」
「大和」の艦橋にて、有賀は森から報告を聞きつつ、真下に目を向ける。
そこには、エンケラドゥスに降る雪に包まれる「雪風」の残骸がある。森が敵兵に拉致されかけたという報告には多くが肝を冷やしたが、その後判明した難破船の正体は、メ号作戦で何があったのかを知る者達に複雑な感情を抱かせた。
「…文字通り、矢尽き刀折れるまで戦ったのだな。音声記録は後で聞こう。暫し休んでくるといい」
有賀は森にそう指示しつつ、戦術長席に目を見やる。そこには兄のコスモガンを収めたホルスターが掛けられており、有賀は小声で「因果か」と呟く。
現在古代は司令官室に赴いて、沖田に直接報告を行っている。恐らく沖田提督も有賀と同様の事を考えているのだろう。
「…地球を、「雪風」の様にしたくはないな。これは、改めて『お礼参り』に向かった方が良いだろうな」
有賀はそう言いつつ、いつの間にか隣に立っていた真田とともに、「雪風」に向けて敬礼を手向ける。
その「雪風」の艦橋内には、『「雪風」乗組員24名の命、ここに眠る』と彫られた鉄片が一つ、墓標の様に立てられていた。
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