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レーヴァティン
第百七十八話 アルプスとドナウ川その八
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「そんなのだったんだ」
「どうやっても駄目な奴だったんだな」
「だから皆から嫌われて見放されて」
 それでというのだ。
「今はどうしているか」
「野垂れ死にか?」
「多分ね。もう最後の方親戚のお葬式で家族でもないのにお葬式の後の食事会で普通に上座に来てたから」
「ああ、それはです」
 順一が唖然として言ってきた。
「無作法の極みといいますか」
「人として馬鹿過ぎる、駄目過ぎるだろ」
 久志はここでまた呆れて言った。
「流石に」
「僕もその話聞いてその人は何をしても駄目だと思っていたけれど」
「余計にか」
「そのお葬式でも他に無作法なことしてたらしいけれど」
「生きていても害にしかならない、絶対に更正しない人だってね」
「確信したか」
「だからこうした人にならない様に」
 剛は久志に考える顔で述べた。
「僕達もね」
「甘やかすにしてもな」
「それ次第だよ」
「そんな五十になってまで長男だからべたべたしてたらな」
「おかしな人になるのも当然だよ」
「そうだよな」
「その人みたいにね、元々おかしな人だったかはともかくとして」
 最初は知らないがというのだ。
「そんな風に甘やかしていたから」
「そこまで馬鹿で恩知らずで図々しくなるんだな」
「尊大でね」
「そうだな、というかな」
 久志は難しい顔でこうも述べた。
「何もないのにそんな人もいるんだな」
「そうだね」
「というかどんな能力があってもな」
 それでもというのだ。
「そんな人間性だと駄目だろ」
「どうしようもないね」
「無能な働き者は向いている仕事やらせたら有能な働き者になるさ」
 ゼークトの言う最も有害なものは最も有益な者になるというのだ。
「けれどな」
「そうした人はね」
「屑は幾ら能力があっても屑だよ」
 そうだというのだ。
「人間的にそうだとな」
「能力の問題じゃないね」
「ベートーベン位の人間性だといいさ」
 この人物の性格も非常に問題が多かったと言われている、だが久志はその彼でもというのである。非常に尊大で気難しく癇癪持ちで頑迷だったというが。
「あれ位でもな、けれどな」
「今僕が話した人になると」
「幾ら能力があってもな」
「問題外だね」
「忠誠心なんてないだろ」
「恩義も感じないしね」
「どうせ人は利用するだけだな」
 それに過ぎないというのだ。
「組織だって。自分だけの奴でな」
「まさにそうだったよ」
「文句ばかり言ってそれでそんな態度だとな」
「もう論外だね」
「誰が使うか」
 どれだけ能力があってもというのだ。
「怠け者だっていうしな」
「しかもよくなることはないよ」
「だったらな」
「君もだね」
「使わないからな、俺は無能な働き者でも使うさ」
 適材適
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