第1部
アッサラーム〜イシス
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こんなに上手な絵まで描いてくださって、ありがとうございます!」
「へへっ、まーな」
ナギも私と同じで、ロズさんに素直に褒められて照れてるようだ。
「罠とか仕掛けとかの話も聞くか?」
「!! もちろん!!」
罠や宝箱の仕掛けについてはナギが、魔法の鍵がある場所の仕掛けや書いてある古代文字に関しては私とシーラが詳しく話した。
とくにシーラは、あのとき見た古代文字をいくつか覚えていたらしく、ロズさんの持っていた本と照らし合わせて書いてある意味をなんとなく解読することができた。
「きっと『太陽を知るものに光あれ』みたいなことが書いてあったんだと思います。それにしてもシーラさんは頭の良い方ですね。魔法使いか僧侶にでもなられてみては?」
「へ?」
唐突に褒められ、変な声を上げるシーラ。
「やだなぁ、ロズりんってば、誉め上手なんだから〜」
シーラははにかみながらも嬉しそうだ。それにしても、ロズさんのほうこそ人を褒めるのが上手だと思う。
ともあれ、ロズさんに気に入ってもらえたようでホッとした。その後ロズさんから今後の旅に役立てるよう、羊皮紙とロズさんお手製の木炭を追加でもらった。
「ミオさんたちのおかげで今まで凍結していたピラミッドの研究が大分捗りそうです。本来ならもっとたくさんのお礼を差し上げたかったのですが、しがない考古学者の身としては、出せる額も限られまして……」
「いえ、いいんですよ。私たちも魔法の鍵を手に入れるついでにやっただけですし」
「いや! ここまでしてもらって、さすがにお礼の品が紙と木炭だけだなんて、僕が許せません。ちょっと待ってください、確かあれが……」
そういうとロズさんは、部屋の棚に押し込められているたくさんの箱の中から、ひとつだけ場違いなほど金の装飾が施されている小さな箱を取り出した。
「昔僕がイシスの歴史の研究を進めていたとき、女王様から賜ったものです。せっかく頂いたのですが、僕には必要がないのでずっと棚の奥にしまいっぱなしで……。これはミオさんたちが持っていた方がふさわしいと思いますよ」
箱の蓋を開けると、中には腕輪が入っていた。緑色をベースに金の装飾で縁取られた、シンプルだが重厚感のある装飾品だ。そういえば、ピラミッドに行く前にロズさんが見せてくれた本で似たような絵を見た気がする。
「これは『星降る腕輪』と言って、イシス王家に代々伝わる宝の一つです。装備すると装備者自身の素早さが格段に上がるそうです」
「え……でも、女王様から頂いたものですよね? 私たちに渡しちゃっていいんですか?」
私が戸惑っていると、ロズさんは黙って私の手に腕輪を渡した。
「いいんです。こんなところで埃かぶってるよりも、あなたたちに使っていただく方が、腕輪も喜ぶと思うんです。まあ、そういう考え方をしてる人
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