第1部
アッサラーム〜イシス
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由があるかもしれないってことかな?
「でも、そっか。そこが通れなくなったら、ポルトガで船を借りることが出来なくなっちゃうね」
納得した私は、深く頷く。
「しっかし、そんなに急に関所を封鎖して大丈夫なのか?」
「俺に聞かれても知らん。とにかく、関所が封鎖されれば俺たちもポルトガに入れない。明日にはここを出るぞ」
ナギの問いに半ばなげやりに返すユウリ。
輸入規制と言っても、どのくらいの期間がかかるのか。もしかしたら何年も先かもしれない。船を手に入れなきゃならないのに、こんなところで何年も足止めをくっていたら世界が滅んでしまうだろう。
ユウリは一息つくと、世界地図を懐にしまいこむ。ていうか、話し合いというより、ユウリが一方的に決めただけの気もするが。
「あ、その前に私、ロズさんのところに行ってもいい?」
「ああ。俺もピラミッドの件を女王に報告しに行くつもりだ」
そんなわけで、お城までは全員で、ユウリは女王様のところ、私たち三人はロズさんのところに向かうことになった。
「ほ、本当に、これがピラミッドの内部の地図なんですか!?」
心底驚いた様子で私が描いた地図を手にしているロズさんは、俄に信じがたいのか、私たちと地図を何度も交互に見比べながら言った。
「ホントだよー? 今なら魔物もいないと思うし、嘘だと思うなら自分で確かめてきてよ」
シーラが不満げに答えるが、ロズさんは首を横に振る。
「いえ、けして疑ってるわけではなくてですね、まさかこんな詳細な地図を作ってきてくれるなんて思ってなかったもんですから、驚いているだけなんです。これはミオさんが描いたんですか?」
「はい。こういうのはじめてだったから、バランスよく描けなかったですけど」
「いえいえ、素晴らしい出来ですよ! ミオさんは地図を作る才能があるのでは?」
「いや、そんなことないですよ」
ロズさんがあまりにも褒めるので、私は顔が熱くなってしまった。この前もそうだったが、普段ユウリの毒舌を浴びてきているので、たまに褒められたりすると自分でもどうしていいかわからなくなるときがある。
「魔物はどんな姿でした? 倒してくれましたから確かめるすべはありませんが、資料として記録したいのです」
「だったらオレが描いてやるよ。なんとなくだけど」
そういうとナギは、羊皮紙にさらさらと魔物の絵を描き始めた。描いたのは袋の姿の魔物に大王ガマ、ミイラ男と、それに人食い箱だ。
ナギってば、意外と絵の才能があるようだ。シンプルな絵柄のわりには特徴をよくとらえてるし、観察力が鋭いのもあるのかもしれない。
「ああ、この袋型の魔物は……『笑い袋』ですかね。そうか、この地域にもいたのか……。うん、面白い。当時の魔物の生息に関する資料が作れそうです。それに
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