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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第265話「天巫女の本領」
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の制御まで奪われてしまっては、さすがに不利になると判断したからだ。

「ええ、頼らせてもらうわ」

 背中合わせになり、二人は白兵戦に切り替える。
 その時、優奈は司に視線を送った。
 それを受けた司は、どういった考えでこの分担にしたのか理解した。

「(私だけで十分。……そう言いたいんだね)」

 優奈でも祈梨でも“支配の性質”は相手にできる。
 その上で司に任せたのは、この程度乗り越えなければ、勝てないと言うのだろう。
 この後待ち受けるのは、司の弱点を突く神だ。
 単に“支配”する程度の神は、一人で倒せと優奈は言いたいのだ。

「(……いわば、予行練習。……うん、やるよ!)」

 周囲で繰り広げられる優奈達の戦闘をBGMに、戦闘の火蓋が再度落とされる。
 初手は愚直な砲撃魔法だ。
 誘導は一切しない、直線にのみ進む砲撃魔法。
 威力は高いが、避けるのはそう難しくない。
 だからこそ、“支配の性質”の神達はあっさりと避ける。

「っ……!」

「(まずは、転移以外の回避を許さない!)」

 その砲撃魔法に隠れるように、追撃を放っていた。
 回避した所へ分裂する極光を放ち、さらに回避を許さないように魔力弾を弾幕のように放った。

「無駄だ!」

「……!!」

 だが、それらの魔法は全て誘導性がある。
 そのため、制御を奪われて司へと返っていく。

「(ここまでは読み通り。なら、これはどう?)」

   ―――“Virage Lame(ヴィラージュラム)

 予測していた司は転移でそれを躱し、用意していた術式を起動させた。
 展開されるのは数こそ多いが、魔力弾だ。
 だが、その魔力弾はブーメランのように湾曲していた。

「行って!」

 放たれた魔力弾は、弧を描くような軌道で神へと迫る。
 しかし、それらの魔力弾に誘導性はない。
 飽くまでブーメランなどと同じように、形を利用して軌道を変えているのだ。

「ちぃっ……!」

 魔力弾一つ一つがバラバラな軌道を描いているため、回避は困難だ。
 そして、誘導性もないため動きを“支配”される事もなかった。
 もし、神界で本来の力を発揮していたのならば、誘導性がない攻撃でも動きを“支配”されていただろう。
 その事に司は気づいていなかったが、誘導性の有無で相手の“性質”に対抗出来るのならばいくらでもやりようはあった。

「(“支配”される前に、発動させる!)」

 祈りを利用した転移魔法で、“天使”の背後を取る。
 同時にシュラインを振りぬき、理力の障壁を切り裂いた。

「はぁっ!!」

 懐に入り込み、掌底と共に極光を放つ。
 制御が乱れるとはいえ、集束させた祈りの一撃は凄まじい
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