邂逅編
第2話 交流と迫る不穏
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この真っ黒のローブを被った男が、今回の作戦会議に参加させるようにと、パーパルディア皇国から念を押されていた使者だった。声の主は、特に気味の悪い男で王の神経を逆なでる。
「チィッ、分かっておるわ!!」
王の怒気をはらんだ声が会議室に響く。その怒鳴り声に、ローブ姿の男はにやにやしながら下がる。
(ちっ…三大文明圏外の蛮地と馬鹿にしおって…! ロデニウスを統一したら、国力をつけて貴様らにも攻め込んでやるわ!!)
本来の王の性格であれば、この気味の悪い男をその場で切り捨てるところである。しかし本作戦はパーパルディア皇国の軍事支援を受けて成せる事であり、使者をそんな風に無下に扱うことはできない。
「コホン…将軍、作戦概要の説明を頼みます」
「はっ、説明いたします」
マオスが場の空気を変えようと咳払いを挟み、説明を頼まれたパタジンは魔方陣の文字をなぞって、テーブル上に敷かれた地図の上に複数の駒を浮かべる。そして魔方陣の文字をなぞって、駒を少し浮かべて動かしながら口を開く。
「今回の作戦に動員する総兵力は60万人。本作戦では、クワ・トイネ公国に差し向ける兵力は50万、残りは本土防衛用兵力となります。 クワ・トイネについては国境から近い人口10万人の都市、ギムを強襲制圧します」
ロウリアの領土に置いた、国軍を構成する騎士団を表す五つの大きな駒。そのうちの4つをギムへと移す。クワ・トイネ側にも同じような駒はあるが、どれも一回り小さい。
「ギム制圧後、その東方55kmの位置にある城塞都市エジェイを全力攻撃します。 このエジェイから540km離れた首都クワ・トイネは、我が国のような町ごと壁で覆うといった城壁を持ちません。せいぜい町の中に建てられた城程度です。 籠城されたとしても、大軍で包囲するだけで干上がります。クワ・トイネ公国で最も堅牢なエジェイを攻略さえすれば、あとは町や村を落としつつ、進軍するだけで終わります」
ギムに置いた駒で首都を包囲すると、クワ・トイネ側の駒を片付けて倒す。ちなみに兵站については、あの国はどこもかしこも豊かな土壌に恵まれた畑であり、家畜でさえ旨い飯を食べているため、食料は現地調達と決めている。次に、串で高さをつけたドラゴン型の駒と船の駒を動かしながら、説明を続ける。
「かれらの航空兵力は、我が方のワイバーンで数的にも十分対応可能です。 それと平行して、海からは、10万の兵力を乗せた艦船4400隻の大艦隊にて、北方向を迂回。マイハーク北岸に上陸し北部沿岸を制圧します。 食料を完全に輸入に頼っているクイラ王国は、この時点で干上がりますので脅威ではなくなります」
パタジンは駒の一つを下げて代わりに2つの一回り小さい駒を置き、その片方をクイラ国境へと置いた。
「ク
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